
赤ちゃんが生まれると、家の中が一気ににぎやかになり、毎日が新しい発見の連続になります。しかしその一方で、赤ちゃんの成長は驚くほど早く、昨日できなかったことが今日突然できるようになったりします。特に、寝返り・ハイハイ・つかまり立ちが始まると、家の中の“思わぬところ”が危険になることも。私たち大人にとっては何気ない生活空間も、赤ちゃんにとっては興味の宝庫であり、同時に事故が起きやすい場所でもあるのです。
本コラムでは、赤ちゃんの発達に合わせて変わる家の危険ポイント、そして具体的な安全対策を「エリア別」「アイテム別」に徹底的に解説します。今日からすぐに取り入れられるものばかりなので、ぜひチェックしてみてください。
目次
赤ちゃんの発達と危険の変化を理解しよう
まず大前提として、「家の中は意外と危険が多い」こと。家庭内で起きる事故は、0〜2歳が最も多いと言われています。自分で歩けないと思っていた時期から、少しずつ移動範囲が増えることで、リスクは段階的に広がります。
● ハイハイ期(生後6〜10ヶ月)
この頃は、赤ちゃんが自分の意思で移動できるようになり、小物・コード・コンセントなど“低い場所”にあるものに手を伸ばし始めます。
床に置いていた物を誤飲する事故や、コードを引っ張って家電が落下する事故が起きやすいのが特徴です。
● つかまり立ち〜よちよち歩き期(10ヶ月〜1歳半)
横移動できるようになり、棚やテーブル上のものまで手が届くようになります。
テーブルの角への頭ぶつけ、扉への指挟みなど「高さのある事故」が増えます。
● 歩行安定期(1歳半〜2歳)
“開ける・引く・押す・登る”といった動きが活発になる時期。
キッチン・浴室・玄関など、今まで親が避けさせていたエリアに自ら近づくようになり、より本格的な安全対策が必要になります。
家の中の危険エリア別・安全対策のポイント

ここからは、具体的に家の中のどこに危険が潜んでいるのかを、エリア別に詳しく見ていきます。
リビング:事故リスクが最も高い場所
家族が最も長く過ごすリビングは、赤ちゃんにとっても活動の中心。
だからこそ、危険も多い場所です。
● テーブルの角
よちよち歩き時期は、転んで頭をぶつける事故が非常に多いです。
→ コーナーガード(透明タイプやシリコンタイプ)を取り付けましょう。
● テレビ・棚の転倒
テレビは押しただけで倒れることもあります。
→ 背面に固定ベルトをつけ、家具も壁に転倒防止器具で固定します。
● 小物・観葉植物の誤飲
床置きの雑貨や石・土は誤飲リスクが大。
→ 低い場所は“何も置かない”が基本。
● カーテンの紐
首に絡まると非常に危険。
→ まとめて短くして高い位置に結ぶか、巻き取り式に変更。
キッチン:家の中で最も危険度が高いエリア
火・熱・刃物・洗剤・重い鍋など、危険物の宝庫です。
赤ちゃんは大人の行動を真似したい気持ちから、キッチンに入りたがりがち。
● ベビーゲートで侵入を防ぐ
キッチン入口に設置するだけで事故リスクは大幅に減ります。
→ “自動閉じタイプ”は両手がふさがっていても便利。
● コンロ・包丁・調味料の管理
・チャイルドロック
・包丁は引き出しの奥、もしくは壁に設置
・鍋の取っ手は内側に
これらが基本です。
● 冷蔵庫へのイタズラ防止
開閉ロックで勝手に開けられないようにしましょう。
階段・段差:命に関わる危険エリア
落下事故は重大化しやすいため、特に優先度の高い対策が必要です。
● 上下両方にベビーゲート設置
階段上はネジ固定式が原則。突っ張り式だと、ゲートに寄りかかった際に外れる危険があります。
● 下側にも設置する理由
赤ちゃんが突然登り始め、途中で疲れて落下するケースが多いためです。
浴室・洗面所:溺水・誤飲・滑りやすさに注意
意外に事故が多いのが浴室周り。
● 浴槽の水は必ず抜く
たった5cmの水でも赤ちゃんは溺れます。
→ 浴槽に水を張ったままにしない習慣が大切。
● 洗剤・シャンプーの誤飲防止
高い場所に置くか、扉ロックを利用。
● 洗濯機の中に入る事故
フタを常に閉める&チャイルドロックも忘れずに。
寝室:転落と窒息の危険
● ベッドからの転落を防ぐ
ベッドガード、または床に布団を敷くのも効果的。
● 隙間に挟まる家具配置に注意
壁とベッドの隙間に頭が挟まる事故もあります。
● ベビーモニターの活用
離れて家事をしている時の安心度が大きく上がります。
玄関:転落と誤飲が多いエリア
● 上がり框からの落下
ベビーゲートを設置する家庭も多いです。
● 靴・砂の誤飲
靴箱にロックをつける、床に靴を置かないなど工夫を。
必須の安全アイテムと選び方のコツ
ここからは、赤ちゃんの安全対策として本当に役立つアイテムをご紹介します。
● ベビーゲート
設置方式は2種類。
① 突っ張り式(工具不要)
・賃貸に向いている
・取り付けが簡単
※階段上には使用不可
② ネジ固定式(最も安全)
・強度が高い
・階段上の設置に必須
赤ちゃんがゲートを揺らしても安心です。
選ぶポイント
・横幅調整の可否
・自動閉じ機能
・開閉方向
・片手で開けられるか
・大人にとって通りやすい高さか
● コンセントカバー
コンセントは赤ちゃんが最も興味を示す場所のひとつ。
種類
・シンプルな差し込みキャップタイプ
・プレートごと覆うロック付きタイプ
・電源タップ専用カバー
延長コードや電源タップの管理
ホコリから守るケースやコードボックスも活用できます。
● コーナーガード
透明で目立たないタイプや、柔らかいシリコンタイプが人気。
粘着力が弱いとすぐ外れるため、「粘着テープの質」を重視しましょう。
● 扉・引き出しロック
・マグネット式
・ベルト式
・シリコンバンド式
用途によって使い分けが必要です。
賃貸の場合は、跡が残らないタイプを選ぶのが鉄則。
● ベビーサークル
リビングの一角に置いて“安全ゾーン”を作れます。
料理中など、数分目を離す必要がある時に便利。
● その他のおすすめアイテム
・扉の指挟み防止ストッパー
・滑り止めマット
・テレビの転倒防止ベルト
・家具と壁のすき間埋めクッション
など、ちょっとした工夫で事故は大きく減ります。
安全対策に優先順位をつけると負担が減る
全ての対策を一度に行おうとすると大変です。
そこで大切なのが「優先順位をつけること」。
優先度1(絶対にやるべき)
・階段ゲート
・キッチンの侵入防止
・コンセントカバー
・テレビの固定
優先度2(できれば早めに)
・コーナーガード
・扉ロック
・浴槽の管理
優先度3(余裕があれば)
・玄関ゲート
・ベビーサークル
・洗面所のロック
経済的な負担を抑えつつ、リスクが高い部分から整えていくと無理なく続けられます。
赤ちゃんが成長したら安全対策の“見直し”が必要
安全対策は「一度整えれば終わり」ではありません。
成長すると…
・ベビーゲートを自分で開けるようになる
・踏み台を使って高いものを取ろうとする
・興味が“コンセント→引き出し→冷蔵庫→ドア”と移り変わる
このように安全対策もアップデートが必要になります。
定期的に
「最近できるようになったこと」
「最近興味を示しているもの」
をチェックし、その都度対策を変えていくのが理想です。
まとめ:安全対策は“やりすぎ”くらいでちょうどいい
赤ちゃんは好奇心のかたまりで、時には大人が想像していない行動をします。
事故の多くは「ほんの数秒」「ちょっと目を離した時」に起きるもの。
でも、今日できる安全対策は、ひとつの事故を確実に防いでくれます。
ベビーゲートやコンセントカバーなどは、“赤ちゃんのいる家の基本セット”といえるほど重要なアイテムです。
家の中が安全になると、大人のストレスも大きく減り、赤ちゃんものびのびと安心して過ごせます。
ぜひ、お子さんの成長段階に合った対策を取り入れながら、安全で快適な暮らしをつくっていきましょう。

















