
1歳を迎えると、育児にも少しずつ余裕が出てきて「そろそろ習い事を始めた方がいいのかな?」と考え始める方も多いのではないでしょうか。SNSなどでベビースイミングやリトミックに通っている子の様子を見ると、「うちの子もやった方がいいのかも」と気になってしまうものです。
けれど、1歳というまだまだ赤ちゃんに近いこの時期に習い事は必要なのでしょうか?今回は、1歳児にとっての習い事の意味やメリット・デメリット、実際に人気のある習い事、選び方のポイントまで幅広くご紹介します。
目次
1歳児の発達と習い事を考える時期について
1歳は、歩き始めたり、言葉が少しずつ出てきたりと、心身ともに大きく成長する時期です。しかし、まだまだ「何かを学ぶ」「目標をもって練習する」といった発達段階にはありません。
この時期の習い事は、「スキルを習得する」ことを目的にするよりも、「親子で楽しく外出する」「新しい刺激を受ける」といった体験重視のスタンスがおすすめです。習い事というより、“親子で参加できる遊びの延長”という感覚で取り組むと、子どもにも無理がありません。
また、習い事を通して生活リズムが整う、親子の時間が増えるなど、家庭の中でも良い影響が期待できることもあります。
習い事を始めるメリット
1歳児が習い事を始めることには、いくつかのメリットがあります。
まず一つ目は、外の世界からの刺激を受けること。いつもとは違う場所や人、音、道具に触れることで、五感を使った新しい体験ができます。これは脳の発達にも良い影響を与えるといわれています。
二つ目は、親子でのコミュニケーションが深まること。特に1歳は親と過ごす時間がメインになる時期なので、一緒に身体を動かしたり、音楽を楽しんだりすることで、愛着関係をより強く育むことができます。
また、他の親子と出会えるのも習い事の魅力。子どもにとっては初めての「社会性」の体験になりますし、親同士で育児の悩みを共有したり、情報交換ができたりするのも大きなメリットです。
注意しておきたい点(デメリットや無理のない選び方)
一方で、1歳児に習い事をさせる際に注意したい点もあります。
まず、子どもはまだまだ体調や機嫌に左右されやすい時期です。せっかく予約しても当日熱が出てしまったり、機嫌が悪くて参加できなかったりすることも珍しくありません。そうしたときに「せっかくお金を払ってるのに…」と親がストレスを感じてしまうこともあります。
また、毎週決まった曜日・時間に通うのが負担になる場合も。送り迎えや準備の手間も意外と大きく、下の子がいたり、仕事をしていたりすると、日常生活との両立が難しいこともあります。
そして、子どもが楽しんでいないのに「行かなきゃ」と無理やり続けてしまうと、本人にとって習い事が「嫌なもの」になってしまう可能性も。習い事はあくまで“楽しい時間”であることが前提です。始める前には、通いやすさや子どもの様子をしっかり見極めて選ぶことが大切です。
人気の習い事例(1歳児向け)
では、実際に1歳児の間で人気のある習い事にはどんなものがあるのでしょうか。以下はその一例です。
ベビースイミング
水中での運動は身体全体を使うため、筋肉やバランス感覚の発達に効果的です。親子で一緒に入るので安心感もあり、水への抵抗感をなくす目的でも人気です。
リトミック
音楽やリズムに合わせて身体を動かすことで、リズム感や表現力が育ちます。ピアノの音に合わせてジャンプしたり、走ったり、止まったりと、遊び感覚で音楽に親しめるのが魅力です。
ベビーヨガ・親子ヨガ
親がリラックスできるだけでなく、子どもとのスキンシップが深まります。身体の柔軟性を育てるだけでなく、情緒の安定にも良いとされています。
英語教室(ベビー英語)
歌や絵本、リズム遊びを通じて、英語の音に慣れることができます。言葉を話し始める前の時期に耳を慣らすことで、将来の語学習得につながるとも言われています。
地域の児童館や親子教室
自治体やNPOが主催する、無料または安価で通えるクラスも充実しています。まずはここから始めてみるのもおすすめです。
1歳児の習い事、実際はどれくらい通ってる?
近年の調査によると、1歳後半(1歳6か月〜1歳11か月)の子どもで習い事をしている割合はわずか9.0%にとどまっており、過去と比べても最低の数値となっています。(ベネッセ教育総合研究所「第6回 幼児の生活アンケート」2023年)
また、同調査では1歳〜3歳の未就園児で習い事をしている割合は15.5%、保育園児では17.3%と、就園状況にかかわらず習い事をしている子どもは少数派であることがわかっています。コロナ禍の影響もあり、以前よりも早期の習い事への参加が減少傾向にあることも分かります。
アンケートによると、未就園児では、「通信教育(定期的に教材が送られてくるタイプ)」や「スイミング」、「リトミック」、「体操教室」など、家庭内や親子参加型で行える体験型の習い事が人気となっています。一方、保育園児では「スイミング」や「通信教育」に加えて、「英会話」や「楽器(ピアノ・バイオリンなど)」も一定数選ばれています。
このようなデータからも、1歳児の習い事は「無理に始めるものではなく、親子で楽しめる範囲で取り入れる」という傾向がうかがえます。決して多くの家庭が早期教育に力を入れているわけではなく、それぞれの子どものペースに合わせた選択がされているのです。
習い事選びで大切にしたいこと
習い事を選ぶ際には、いくつか意識したいポイントがあります。
子どもの性格や発達段階に合っているか
自宅からの距離や時間帯が無理のない範囲か
親子ともに楽しめる内容かどうか
体験レッスンがあるか(必ず体験してから入会するのがおすすめ)
最初は「なんとなく興味がありそう」くらいの感覚でもOKです。無理なく、気軽に続けられるかどうかが一番のカギです。
習い事をしないという選択も正解
忘れてはいけないのは、「習い事をしない」という選択も、まったく間違っていないということです。1歳児にとっては、公園で遊ぶことや、家でのんびり絵本を読むことも、十分に学びであり、成長のきっかけになります。
「何もやっていないと不安」と思ってしまうかもしれませんが、家庭での関わりや日常の経験が、最も大切な「習い事」であるとも言えるのです。
おわりに
1歳児に習い事を始めるかどうかは、家庭ごとのペースや価値観で決めてよいものです。早く始めることが必ずしも有利とは限りませんし、始めないからといって何かを逃すわけでもありません。
大切なのは、「子どもが楽しめているか」「親も無理なく続けられるか」という視点です。興味があれば、まずは体験から気軽に試してみましょう。そして、合わなければやめることも一つの選択肢です。
親子にとって心地よい時間を過ごすこと、それ自体がこの時期にしかできない、大切な「学びの時間」なのです。