病院の先生にお礼の心づけは必要?相場や渡し方のマナー

入院や手術でお世話になった病院の先生にお礼として何か渡したいのだけど、そもそもこうした心付けは必要なのか悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。

この記事では、病院の先生への心付けの渡し方や相場、そもそも心付けは必要なのかについて、詳しく解説していきます。

・お礼として心付けは渡すもの?
・心付けの相場はどれくらい?
・心付けの渡し方にマナーはある?

こんな疑問を持っている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

心付けとは?

アルファベットの書いてある木のブロックでthank youと書いている

「心付け」とは、お世話になった相手に金銭や品物などを感謝の気持ちとして贈る行為を指します。
海外ではチップとして、受けたサービスに対する感謝の気持ちを金銭で渡すことが習慣になっています。
心付けもチップのようなもので、古から伝わる日本の風習でもあります。
そのため、どちらかという年齢を重ねている人のほうが心付けを気にしてしまう傾向にあるのではないでしょうか。

心付けを禁止にしている病院もある

近年は病院全体で心付けを禁止にしているところも多くあります。
総合病院などの大きな病院では、待合室など目立つところに「お心付けは受けとれません」というような貼り紙がしてある場合もあり、受け取ってもらえない場合もあります。
公立病院の場合には、こうした心付けなどの謝礼を受け取ってしまうと、公務員としての倫理規定に抵触してしまう可能性があるため、一切禁止としています。

以前に比べて減少してはいますが、医師に謝礼を渡そうとする患者が依然として存在しています。一部の医療施設では、謝礼の受け取りを禁じているルールもありますが、それに関して医師たちは受け取るべきかどうかで頭を悩ませることがあります。

日本医師会は医師の職業倫理指針(第3版)で、「患者から謝礼を受け取ることは、その見返りとして意識的か否かを問わず何らかの医療上の便宜が図られるのではないかという期待を抱かせ、さらにこれが慣習化すれば結果として医療全体に対する国民の信頼を損なうことになるので、医療人として慎むべき」と述べています。

心付けを渡す風習が残っているシーン

病院では禁止としている施設が増える一方で、心付けを渡す風習が色濃く残っているシーンもあります。
代表的なのは冠婚葬祭で、結婚式ではプランナーや介添え役などに心付けを渡したり、受付や余興などを頼んだ友人に心付けを渡したりします。
他にも引越しをする際の引越し業者や、新築工事など住宅工事関連で渡すことがあります。

日本医師会のお礼に関する見解

入退院時に医師に謝礼を渡す習慣は、最近では少なくなってきたものの、手術の際などにはまだ見られます。このような謝礼についてどう対応するのが良いか、臨床研修指導者講習会ではディスカッションが行われます。

例えば、83歳の女性が胃がんの手術後に現金を渡そうとする場合、受け取るべきかどうかが議論されます。参加者の意見は以下の通りです。

受け取って良い:感謝の気持ちを受け入れるべき。
受け取ってはならない:病院の規則や他の患者への影響を考えると受け取るべきでない。
現金ではなく品物や自家製の野菜などなら受け取っても良いという意見もあります。このように、もらって良いものと悪いものの境界を考えます。

結論として、謝礼は原則受け取らない方が良いですが、感謝の気持ちとして常識的な範囲内であれば受け取ることもあります。特に現金や商品券は避けるべきで、人間関係を考慮して臨機応変に対応するのが良いでしょう。

参考:「日本医師会HP」

心付けの相場や渡し方は?

本のページが曲がってハートに見える

心付けを渡す場合、相場や渡し方のマナーを守ったほうがトラブルにならずに済みます。
この見出しでは、心付けの相場や渡し方のマナーを紹介していきます。

病院への心付けの相場

手術や入院など命に関わることでお世話になった場合には、お礼として3~5万円程度の品物や金品を渡すことが多いようです。
治療や通院などでは、3000円~1万円程度が相場となる場合が多く、一概に「これくらい」という相場を示しづらいのが現状です。
お断りしている病院もあるため、感謝の気持ちとして受け取ってもらいやすい価格帯のものを渡すことも多く、金銭ではなく商品券にしたり、品物にしたりすることもあります。
退院後にお中元やお歳暮などとして1万円程度のものを贈るのもスマートに渡しやすい手段です。

渡し方のマナー

スマートに渡すほうが受け取る側も貰いやすい状況になります。
・強引に渡さない
・他の人がいない場面で差し出す
まずはこの2点を守りましょう。
他の見出しでも紹介した通り、病院では心付けを禁止にしていたり、公務員の決まりとして受け取れない事情もあります。
無理矢理押し付けるように渡すのではなく、「もしよければ」「少しばかりですがお茶請けに」という控えめな気持ちで渡すように心がけましょう。

また、人前では周りにも気を使ってしまうため、他の人の目につかない場所で渡すようにするのがマナーです。

のし紙の種類と文言

熨斗をつけた箱

病院へのお礼の品を贈る際の熨斗は、紅白の蝶結びで表書きは「御礼」が一般的です。治療の末に亡くなられた場合は、無地の熨斗に「御礼」と書きます。

お礼の品を手渡すタイミングは、退院日の前後が適切で、人目を避けるのがマナーです。ナースステーションに届けると良いでしょう。「お世話になりました。心ばかりのものですが、皆さんで召し上がってください。」と一言添えて渡します。

メッセージカードの活用

病院への感謝を伝える際、メッセージカードを使うのはとても有効です。退院の際に、病院全体のスタッフに感謝の気持ちを込めたメッセージカードを、受付やナースステーションに渡してみてください。

治療中に感じた感謝や尊敬の気持ちを具体的に書くことで、担当医師や看護師にも大きな喜びと励みになります。メッセージカードは、個々の医師や看護師だけでなく、病院全体への感謝を表現する手段となります。

病院へのお礼は金銭やギフトに限りません。元気になったことへの喜びや、支えてくれたことへの感謝を、自分の言葉で伝えてみてはいかがでしょうか。

心付けにおすすめのもの

お菓子

主治医へのお礼品を選ぶ際は、予算を2,000円~5,000円程度に設定し、「消えもの」を選ぶのが良いとされています。「消えもの」とは、食べたり飲んだりすることでなくなる消耗品のことです。具体的には、以下の条件を意識すると良いでしょう。

  • 個包装になっているもの
  • 賞味期限が長いもの
  • 常温保存が可能なもの
  • その場ですぐに食べられるもの

病院の勤務者は出勤日や時間がバラバラなため、その場で切って食べるホールケーキや賞味期限の短いフルーツは避けるべきです。また、常温保存ができない生ものやゼリーなども不向きです。

以上の条件を踏まえると、お礼品としては個包装されていて、常温保存ができ、賞味期限の長いお菓子が最適です。例えば、焼き菓子の詰め合わせなどは、休憩時間に手軽に食べられるためおすすめです。

商品券

商品券を贈る際には、病院の方針に反する可能性があるため、事前に確認することが重要です。また、商品券を選ぶ際には、以下の点を考慮しましょう。

  • 病院の方針確認:特定の商品券が病院で受け取れない場合があるので、事前に確認します。
  • 使用範囲:贈る医師が使いやすいように、利用範囲が広い商品券を選びます。
  • 有効期限:有効期限が十分に長いものを選び、医師がいつでも使えるように配慮します。

事前に病院の方針を確認したうえで、医師にとって便利で使いやすい商品券を選ぶことが大切です。

日用品

お礼品の金額は2,000円~5,000円程度が適切です。高額な品物は受け取る側に気を遣わせる可能性があり、逆に安価すぎると選択肢が限られてしまいます。

2,000円~5,000円程度の品物であれば、病院のルールや受け取り方針に関わらず、受け取り手が納得して持ち帰ることができるでしょう。

心付けに対する病院の対応

黄色い背景に個包装のキャンディが等間隔に並べられている

ここまでの見出しでは、心付けの要不要に対する意見や、渡し方などについて解説してきましたが、実際に貰う側でもある病院の対応はどうなのかリサーチしました。

・品物で貰ったほうが受け取りやすい
ネクタイや筆記用具などは日常でも使いやすく、貰った次の日から実際に使っている医師もいるようです。

・お菓子などはみんなで食べられる
みんなで分けて食べられるお菓子類は休憩中にみんなで分けて食べられるので、受け取りやすいとの意見がありました。

・禁止されているけど断る人は少ないのではないか
病院では禁止となっていても、実際には受け取っている人が多いという意見がありました。

・心付けの習慣は減っている
禁止している病院も増えているため、心付けを申し出る人も減っています。

まとめ~心付けが治療に影響することはない~

薬や聴診器などの医療機器が並べられている

心付けの習慣は歳を重ねるほど気にする方が多いものです。
禁止している病院も多いことから、心付けを渡す習慣自体も減少傾向にあります。
治療にあたる医師が心付けの有無や、心付けの価格で態度を変えたり治療に影響したりすることはまずありません。
もしあるようなら、病院を変えたほうがいいかもしれませんね。
そのため、医師への心付けは渡さなくても大丈夫です。
どうしても感謝の気持ちとして何かを渡したいと考えているなら、マナーを守って受け取りやすいものを選ぶのがいいでしょう。
この記事を参考に、医師への心付けについてもう1度検討してみてくださいね。

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