赤ちゃん返りっていつまで?どう接する?成長の一歩として向き合うために

「最近、下の子が生まれたからか、上の子が妙に甘えてきて困っている」
「トイレができていたのに、またおもらしをするようになってしまった」
「“赤ちゃんみたいな話し方”をするようになってきた」

そんな悩みを抱えている親御さんも多いのではないでしょうか。
これはいわゆる「赤ちゃん返り」と呼ばれる現象。
保育園や幼稚園に通う年齢の子どもにもよく見られる心の反応です。

今回は、赤ちゃん返りとは何か、親はどのように対応すればよいのかを考えてみましょう。

赤ちゃん返りとは何か?

赤ちゃん返りとは、成長の過程で一度できるようになったこと(トイレ、言葉、行動など)が一時的にできなくなったり、赤ちゃんのような振る舞いをするようになる現象のことを指します。

これは「退行」とも呼ばれ、子どもが精神的に不安や葛藤を感じたときに表れます。「もう一度赤ちゃんになれば、もっと甘えられる」といった心の表れなのです。

赤ちゃん返りで見られる主な行動には以下のようなものがあります:

  • 急に「抱っこして」と言うことが増える

  • 「ママ~」と赤ちゃん口調になる

  • できていたトイレができなくなる、おもらしする

  • 夜泣きをするようになる

  • 親の気を引こうとわざといたずらをする

  • 下の子に嫉妬して意地悪する

このような行動を目の当たりにすると、つい「もう大きいのにどうして?」と思ってしまいがちですが、実はこれは子どもが環境の変化に頑張って適応しようとしている証でもあるのです。

赤ちゃん返りが起こる主なタイミング

赤ちゃん返りが起こりやすいタイミングにはいくつかの共通点があります。

1. 下のきょうだいが生まれたとき

赤ちゃん返りが最も多く見られるのは、やはり「弟や妹が生まれたとき」です。
今まで自分だけが受けていた親の関心が、赤ちゃんに向かってしまったと感じると、子どもは強い不安を抱きます。

2. 入園・進級などの環境の変化

保育園・幼稚園の入園、進級なども大きな変化です。集団生活や新しい人間関係に戸惑い、不安を抱えたとき、甘えのサインとして赤ちゃん返りが表れることがあります。

3. 引っ越し、親の仕事の変化など家庭の変化

生活の拠点が変わったり、親の忙しさが増したりすると、子どもは「自分はちゃんと見てもらえているのか」と確認したくなります。こうした気持ちが、行動に出てくることがあります。

赤ちゃん返りへの親の接し方

広い草原で子どもを優しく抱きしめる女性。花が咲く野原と背景の木々が穏やかな自然の中での親子の温かいひとときを映し出している。

赤ちゃん返りにどう対応するかは、親にとって大きな課題です。
しかし、ここで大切なのは「赤ちゃん返り=悪いことではない」と理解すること。

否定しない

つい「もうお兄ちゃんでしょ!」「恥ずかしいよ」と叱ってしまいがちですが、それでは逆効果。赤ちゃん返りをすることで不安を表現している子どもにとって、否定されることは「自分の気持ちを分かってもらえなかった」という傷として残ってしまいます。

たっぷり甘えさせる

今はたくさん抱っこして、たくさん「大好きだよ」と伝えてあげる時期だと割り切りましょう。たっぷり甘えた経験が、子どもの心の安心感を育てます。

“お兄ちゃん/お姉ちゃんだから”はNGワード

「お兄ちゃんだから我慢して」などの言葉は、子どもにとって負担です。「我慢しないと愛されないのかな」と感じさせてしまう可能性もあります。

1対1の時間を意識的に作る

「ママはちゃんとあなたのことを見ているよ」と伝えるために、短くても構いません。「今日は○○ちゃんとママだけで絵本読もうね」といった2人きりの時間を作ることが効果的です。

“できたこと”を見逃さずにほめる

赤ちゃん返りの行動にばかり目がいきがちですが、子どもが頑張っていることにも目を向けてください。「今日はお片づけできたね」「トイレ間に合って嬉しいね」など、前向きな声かけが子どもの自信になります。

いつまで続くの?終わりはくるの?

赤ちゃん返りは、数週間から数ヶ月ほどで落ち着くことが多いです。もちろん個人差はありますが、親が焦らず対応していれば、やがて子どもは「もう大丈夫」と自然に乗り越えていきます。

子どもは自分の気持ちをうまく言葉にできない分、行動で「もっと見てほしい」「愛されているか確認したい」と伝えようとします。赤ちゃん返りは、そんな心の叫び。つまり、愛着形成の大切なプロセスでもあるのです。

赤ちゃん返りを通して、親が得られる気づきもある

赤ちゃん返りは、子どもだけでなく、親にとっても「家族の関係を見つめ直すチャンス」です。

日々の忙しさのなかで、つい「上の子はもう大きいから大丈夫」と思ってしまうこともありますが、上の子だってまだまだ甘えたい年齢です。
この時期をきっかけに、親子の絆をより深められるような関わりを大切にしていけたら素敵ですね。

おわりに:完璧な対応じゃなくても大丈夫

毎日完璧な対応ができなくても大丈夫です。
イライラする日もあるし、つい怒ってしまう日もあるでしょう。
でも、子どもは親のまなざしや手のぬくもり、言葉の端々から、たしかに「愛されている」と感じ取っています。

赤ちゃん返りは、成長する過程で誰もが通る道。
子どもも親も、少しずつ一歩一歩前へ進んでいければそれで十分です。

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