
朝の登園や登校の準備、食事、お風呂、寝る前の支度など、子育て中は時間との戦いが続きます。
「着替えてね。」
「歯磨きしよう。」
「靴を履いてね。」
最初は穏やかに声をかけていたはずなのに、気づけば「早くして!」「急いで!」「もう時間だよ!」と何度も繰り返してしまった経験はありませんか。
本当は優しく声をかけたいと思っているのに、毎日の忙しさに追われ、つい強い口調になってしまう。そして子どもが泣いたり反抗したりすると、「また怒ってしまった……」と自己嫌悪に陥ることもあるでしょう。
実は、「早くして!」と繰り返してしまうのは、決して珍しいことではありません。多くの子育て世代が同じような悩みを抱えています。また、子どもの発達や時間の感じ方を知ることで、少しずつ声かけを変えていくこともできます。
この記事では、「早くして!」と言ってしまう理由や子どもの気持ち、今日から実践できる具体的な工夫について詳しくご紹介します。
目次
「早くして!」と言ってしまうのはあなただけではない
子育て中の親にとって、「早くして!」は最も口にしやすい言葉の一つかもしれません。
特に忙しい朝は、朝食の準備や洗濯、仕事の支度をしながら子どもの着替えや持ち物の確認まで行わなければならず、時間に余裕がありません。
夕方も同様です。
保育園や学校から帰宅した後は、
- 夕食の準備
- 宿題
- お風呂
- 翌日の準備
- 寝かしつけ
など、やることが次々と待っています。
その中で子どもが遊び始めたり、なかなか行動に移せなかったりすると、焦る気持ちから「早くして!」という言葉が自然と出てしまうのです。
SNSや子育てコミュニティでも、「一日に何十回も言ってしまう」「言いたくないのに言ってしまう」という声は少なくありません。
つまり、この悩みはあなただけのものではなく、多くの家庭で共通するものなのです。
親が「早くして!」と言ってしまう5つの理由

1. 時間に追われているから
親が「早くして!」と言ってしまう最大の理由は、時間に追われていることです。
保育園や幼稚園、小学校には決められた登園・登校時間があります。さらに、親自身にも出勤時間や電車の時刻、予定などがあり、「遅れるわけにはいかない」というプレッシャーがあります。
一方、子どもはまだ時間の感覚が十分に育っていません。
「あと5分」という言葉がどれくらいの長さなのか、実感として理解することは難しいものです。
親にとっては一分一秒が大切でも、子どもにとっては遊びの続きや目の前の出来事のほうが魅力的です。そのギャップが、「早くして!」という言葉につながります。
2. 子どもの時間感覚は大人と違う
幼い子どもは、「時間」よりも「今」を大切に生きています。
夢中で遊んでいる途中に突然「終わり」と言われても、気持ちを切り替えることは簡単ではありません。
また、
- 5分
- 10分
- あと少し
といった時間の長さも、大人ほど正確には理解できません。
そのため、大人から見ると「どうしてそんなにゆっくりなの?」と思うような場面でも、子どもは決してわざとゆっくりしているわけではないのです。
3. 「言えば動く」と思ってしまう
これまでの経験から、「早くして!」と言えば子どもが動いたことがあると、親はその方法を繰り返し使うようになります。
しかし、同じ言葉を何度も聞いているうちに、子どもは慣れてしまいます。
「どうせ何回か言われる」
「まだ大丈夫」
という気持ちになり、一度の声かけでは動かなくなることもあります。
すると親はさらに大きな声になり、お互いにストレスが増えてしまうという悪循環に陥ります。
4. 親自身に余裕がない
睡眠不足や仕事の疲れ、家事の負担、兄弟姉妹のお世話など、親も毎日たくさんの役割を抱えています。
特にワンオペ育児や共働き家庭では、限られた時間の中で多くのことをこなさなければなりません。
心や体に余裕がないときほど、小さな出来事にもイライラしやすくなります。
子どもの行動そのものが問題なのではなく、親の疲れが「早くして!」という言葉につながっていることも少なくありません。
5. 「ちゃんとしなければ」と思いすぎている
真面目で責任感の強い親ほど、
- 遅刻してはいけない
- 忘れ物をしてはいけない
- 周りに迷惑をかけたくない
という思いが強い傾向があります。
もちろん、時間を守ることは大切です。
しかし、「絶対に遅れてはいけない」「完璧に準備しなければ」と考えすぎると、少しの遅れにも焦りを感じやすくなります。
その結果、「早くして!」という言葉が増えてしまうのです。
子どもは「早くして!」をどう受け止めている?
「怒られている」と感じている
親は「急いでほしい」という気持ちで言っているつもりでも、子どもは「怒られた」と受け止めることがあります。
何度も繰り返し言われることで、
「また怒られた」
「自分はダメなんだ」
と感じてしまう子もいます。
もちろん、一度や二度の声かけで大きな影響があるわけではありません。しかし、毎日のように強い口調で言われ続けると、自信を失ってしまうこともあります。
「何をすればいいの?」と分からない
「早くして!」という言葉は、大人には分かりやすくても、子どもにとってはとても曖昧です。
例えば朝、
「早く!」
と言われても、
- 着替えることなのか
- 歯磨きなのか
- 靴を履くことなのか
が分からないことがあります。
そのため、
「まずズボンを履こうね。」
「ランドセルを持とう。」
「靴を履いたら出発だよ。」
など、一つずつ具体的に伝えるほうが、子どもは行動しやすくなります。
焦って余計に動けなくなることもある
大人でも、急かされ続けると焦って失敗することがあります。
子どもはさらにその影響を受けやすく、
- 泣いてしまう
- 固まってしまう
- パニックになる
- 「やりたくない!」と反発する
といった反応を見せることがあります。
「早くして!」と言えば言うほど、かえって準備が進まなくなることも珍しくありません。
「早くして!」を言い続けることで起こること
もちろん、忙しい毎日の中で「早くして!」と声をかけること自体が悪いわけではありません。しかし、それが毎日のように繰り返されると、親子の双方にストレスがたまりやすくなります。
子どもは「また怒られるかもしれない」と不安になり、親は「どうして何度言っても動いてくれないのだろう」とイライラします。
また、子どもが「言われるまで動かない」状態になってしまうこともあります。自分で考えて行動するよりも、「次は何を言われるだろう」と待つ習慣がついてしまうと、自主性を育てる機会が減ってしまう可能性もあります。
一方で、親も「また怒ってしまった」「もっと優しくしたかったのに」と自己嫌悪を繰り返し、子育てに自信をなくしてしまうことがあります。
大切なのは、「一度も言わないこと」を目指すのではなく、必要以上に繰り返さない工夫を取り入れることです。
「早くして!」を減らすための工夫

行動を具体的に伝える
「早く!」ではなく、「靴下を履こう」「歯磨きをしよう」「ランドセルを持とう」のように、一つの行動を具体的に伝えましょう。
子どもは何をすればよいのかが分かりやすくなり、行動に移しやすくなります。
一度にたくさん伝えない
「着替えて、歯磨きして、トイレに行って、水筒を持って!」
と一度にたくさん伝えると、子どもは混乱してしまいます。
まずは一つ終わったら次を伝えるなど、順番に声をかけることがポイントです。
タイマーや時計を活用する
キッチンタイマーや砂時計、タイマー機能付きの時計などを使うと、「あと○分」という時間が目に見えて分かるようになります。
ゲーム感覚で取り組めるため、子ども自身が時間を意識するきっかけにもなります。
前日の準備を習慣にする
朝の慌ただしさを減らすには、前日の準備が効果的です。
例えば、
- 翌日の洋服を用意する
- 持ち物を確認する
- 水筒や給食セットを準備する
- 上履きや宿題を確認する
など、できることを前日に済ませておくと、朝の余裕につながります。
少しだけ早めに行動する
「あと5分寝たい」と思う日もありますが、10分だけ早く起きることで気持ちに余裕が生まれることがあります。
時間に余裕があると、親も落ち着いて声をかけやすくなります。
できたことを褒める
「今日は自分で着替えられたね。」
「時計を見て準備できたね。」
など、結果だけではなく行動そのものを認める声かけも大切です。
成功体験が積み重なることで、子どもは自信を持ち、自分から動こうとする意欲につながります。
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年齢別の声かけのポイント
2〜3歳
遊びからの切り替えが苦手な時期です。
「あと1回滑り台をしたら帰ろうね」「赤い靴と青い靴、どっちを履く?」など、見通しや選択肢を示すと受け入れやすくなります。
4〜5歳
少しずつ時間の概念が育ってくる時期です。
タイマーや時計を使ったり、「長い針がここまで来たら出発しようね」と伝えたりすると理解しやすくなります。
小学生
自分で時間を管理する力を育てることが大切です。
朝の支度リストやチェック表を活用し、自分で確認しながら準備する習慣を少しずつ身につけていきましょう。
忙しい朝をラクにする家庭の工夫
毎朝の支度をスムーズにするためには、家庭に合った仕組みを作ることも大切です。
例えば、
- 朝の準備リストを貼る
- 持ち物チェック表を作る
- よく使う物の置き場所を決める
- 朝食をある程度パターン化する
- 家族で役割分担を決める
といった工夫は、親が何度も声をかける負担を減らすことにつながります。
また、入園・入学前であれば、持ち物への名前付けを早めに済ませておくことも、準備をスムーズに進めるポイントです。持ち物が分かりやすく整理されていると、子ども自身も探しやすくなり、自分で準備する習慣づくりにも役立ちます。
まとめ
子どもに「早くして!」と言ってしまうのは、多くの親が経験するごく自然なことです。
その背景には、親が時間に追われていることや、子どもの発達段階による時間感覚の違いがあります。
大切なのは、「早くして!」を完全になくそうとすることではありません。
「靴を履こうね」「次は歯磨きだよ」と具体的に伝えたり、タイマーやチェックリストを活用したりと、小さな工夫を積み重ねることで、親子ともに気持ちよく過ごせる時間は少しずつ増えていきます。
子育てに完璧はありません。
今日一日、「早くして!」を一回少なく言えたら、それも立派な前進です。焦らず、それぞれの家庭のペースで、親子に合った声かけや習慣を見つけていきましょう。
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