小学生の理想の睡眠時間とは? 睡眠の質と家庭でできる工夫

「うちの子、なかなか寝ないんです」「朝、なかなか起きられなくて毎日バタバタ…」
そんな悩みを抱える保護者の方は多いのではないでしょうか。小学生になると、勉強や習い事、友達との遊びやゲームなどで毎日が忙しくなります。結果として、寝る時間が遅くなり、十分な睡眠が取れなくなっている子も少なくありません。

しかし、子どもにとって「睡眠」は心と体の成長に欠かせない大切な時間。今回は、小学生にとって理想的な睡眠時間と、家庭でできる睡眠の質を高める工夫についてご紹介します。

小学生に必要な睡眠時間はどのくらい?

アメリカ睡眠財団によると、6〜13歳の子どもには1日あたり9〜11時間の睡眠が推奨されています。たとえば朝7時に起きるとすれば、夜8時〜9時には眠りについているのが理想的ということになります。

しかし実際はどうでしょうか。
公益財団法人博報堂教育財団・こども研究所が2025年に行った調査では、小学生の平日の平均睡眠時間は8時間56分という結果が出ています。これは厚生労働省の推奨値である「9〜12時間」をわずかに下回る水準です。

参考:公益財団法人 博報堂教育財団

また、同調査では就寝時間の平均が21時46分と報告されており、遅めの傾向もみられます。高学年になるほど塾や習い事などで帰宅が遅くなり、そこから宿題や娯楽時間を過ごすことで、就寝時刻が後ろ倒しになってしまうケースが多いのが実情です。

睡眠不足が子どもに与える影響

子どもにとっての睡眠は、単なる「休息」ではありません。
脳や体を育てるための時間であり、睡眠不足が続くとさまざまな悪影響が出てきます。

  • 学力や集中力の低下
     → ぼんやりしたまま授業を受けることに。理解力や記憶力にも影響します。

  • 情緒不安定やイライラ
     → 怒りっぽくなったり、些細なことで泣いたり…情緒の波が大きくなる傾向があります。

  • 成長ホルモンの分泌不足
     → 睡眠中、とくに深い眠りの間に成長ホルモンが多く分泌されるため、身長や筋肉の発達に影響します。

  • 免疫力の低下
     → 風邪や感染症にかかりやすくなるという報告も。

  • 肥満や生活習慣病のリスク
     → 睡眠不足によってホルモンバランスが崩れ、食欲のコントロールが難しくなることもあります。

博報堂教育財団の調査では、小学生の約7割が平日日中に眠気を感じていると回答しています。特に「午後の授業中」が最も多く、次いで「給食のあと」「朝の登校時間」など、日中のさまざまな場面で眠気が襲っていることが分かります。

睡眠の“質”も大切!ただ長く寝ればいいわけじゃない

「早く寝かせたから大丈夫」と思っていても、実際には浅い眠りが続いていて、十分に回復できていない場合もあります。

特に問題視されているのが、就寝前や布団の中でのスマホ・ゲーム使用です。調査によると、小学生の3割以上がスマホやゲーム機を布団の中に持ち込んでいると回答しており、これは睡眠時間が短い傾向にある子どもたちほど高い割合を示しています。

専門家の相良雄一郎医師(睡眠学会専門医)も、「睡眠前半の3~4時間に成長ホルモンが最も分泌される」「スマホや動画による『就寝先延ばし』は生活リズムを崩す」と警鐘を鳴らしています。

睡眠の質を高めるために家庭でできること

暗いベッドルームのベッドわきにテーブルとノートパソコンがあり、そこだけ天井のライトが照らしている

● 就寝リズムを整える

寝る時間・起きる時間を毎日そろえる(休日も)ことで、体内時計が整い自然に眠気が訪れます。

● 就寝前のルーティンをつくる

読書や音楽など、心が落ち着く時間を意識して取り入れましょう。入浴は就寝の1〜2時間前がベストです。

● デジタル機器との付き合い方

布団の中にスマホやゲーム機を持ち込まないようにするだけでも、眠りの質がぐっと改善します。

● 快適な寝室環境を整える

温度や照明、静かさなど、子どもが安心して眠れる環境づくりが大切です。

親としてできるサポート

子ども任せにせず、親自身も睡眠の大切さを理解し、生活リズムの見本を見せることが大切です。
「眠ること=大切で心地よいこと」と感じてもらえるよう、声かけや習慣づくりを一緒に取り組んでいきましょう。


まとめ

小学生の睡眠は「時間」と「質」の両方が大切です。
睡眠不足や質の低下は、日中の眠気や集中力の低下、さらには成長への悪影響にもつながります。

近年の調査でも、「子どもは睡眠の大切さを理解していても、夜遅くまで起きていたいと感じている」という本音が明らかになっています。
家庭での声かけや環境づくりが、子どもの“眠る力”を育てていく第一歩です。

今一度、ご家庭の「おやすみ習慣」を見直してみませんか?

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