ペットが子どもに与える影響は?犬と暮らすメリット・デメリット

「子どもの情操教育のために犬を飼ってあげたい。
でも、アレルギーになるかもしれないから…」
こんな悩みを抱える家庭は少なくありません。

犬と暮らすことには多くのメリットがあり、「子どもには動物と触れ合いながら育ってほしい」と考える親は多いはずです。一方で、アレルギーの原因になったり、衛生面が気になったり、現実的にはなかなか踏み切れないという声もあります。

本コラムでは、犬と子どもが一緒に暮らすことで本当にアレルギーになるのか、メリットとデメリットは何か、飼う前に注意したいポイントはどこかを、できるだけわかりやすく整理してお伝えします。

犬とアレルギーの関係:実際のところどうなの?

まず気になるのは「犬を飼うとアレルギーになるのか?」という点。
答えは一言で言うと “なる可能性もあれば、ならない可能性もある” です。

そもそも動物アレルギーとは?

犬の皮膚のフケ、唾液、尿に含まれるたんぱく質がアレルゲンとなり、くしゃみ・鼻水・かゆみ・喘息などの症状を引き起こします。毛が原因だと思われがちですが、毛そのものではなく、皮膚や唾液の成分が原因です。

「犬と育つとアレルギーが減る」という研究もある

実は近年、乳幼児期に犬と暮らすことで、免疫バランスが整いアレルギーが出にくくなるという研究報告もあります。犬と触れ合うことで多様な菌や環境刺激に触れ、それが免疫の過剰反応を防ぐという考え方です。

一方で「アレルギー体質の子は注意が必要」

家族に喘息や強いアレルギーの既往がある場合、犬を飼うことで症状が強く出る可能性もあります。また、「この犬種はアレルギーが出にくい」といった言説がありますが、完全にアレルゲンがゼロの犬は存在しません。あくまで「比較的少ない」という程度です。

つまり、犬はアレルギーを増やす可能性も、逆に減らす可能性もあり、子どもの体質や生活環境によっても大きく変わるというのが実際のところです。

子どもが犬と一緒に暮らすメリット

男の子と犬が見つめあっている

犬と暮らす魅力は、単に「かわいい」「癒される」だけではありません。特に子どもにとっては、多くの良い影響が期待できます。

① 思いやり・共感性が育つ

犬は言葉が話せません。だからこそ表情や仕草を読み取って接する必要があります。
「怖がっていないかな?」「喜んでいるかな?」
子どもは犬と関わる中で、自然と相手の気持ちを想像する力を身につけます。これは人間関係においても非常に大切な能力です。

② 自己肯定感が高まる

犬のお世話を通して、「自分にもできることがある」と実感できるようになります。
ごはんの用意、水の交換、優しくなでるなど、小さな行動でも犬は喜びます。その反応が子どもの自信につながり、繰り返し積み重ねることで自己肯定感が育ちます。

③ 生活リズムが整う

散歩の時間が決まり、自然と家庭全体の生活が整います。
外に出る時間が増えることで、子どもの運動量も増え、健康的なリズムが作られやすくなります。

④ コミュニケーション能力が育つ

犬とのスキンシップや散歩中の交流を通じて、他の飼い主との会話が増えるため、自然とコミュニケーションの機会も増えます。

⑤ 心理的な癒し効果

犬に触れることで、子どものストレスが軽減されるという報告もあります。
保育園や学校で疲れた心が、犬との時間でゆっくり回復することも。

子どもが犬と暮らすデメリット

メリットがある一方で、現実的なデメリットも無視できません。

① アレルギーリスクはゼロではない

犬を飼い始めてからアレルギー症状が出たというケースもあります。
家族に強いアレルギー体質がある場合は特に慎重な判断が必要です。

② ケガや事故の可能性

子どもがはしゃいでいるときに犬が驚いて噛んでしまう、逆に犬のしっぽに引っ張って怒らせてしまうなどのリスクがあります。
犬にも子どもにも相性があります。

③ お世話の負担は想像以上に大きい

散歩、ごはん、トイレ、しつけ、シャンプー、健康管理など、多くの手間がかかります。
「子どものために」飼うとしても、実際にお世話をするのは親です。
共働き家庭では時間的な負担が課題になりやすいでしょう。

④ 経済的な負担が大きい

フード代、ワクチン、予防薬、トリミング、医療費…
犬の一生(10~15年)でかかる費用は意外と大きいと言われています。
高齢になると医療費が高額になるケースも珍しくありません。

飼う前にチェックしたい“アレルギー対策”のポイント

① 家族のアレルギー歴を確認

喘息、アトピー、花粉症などが強い家系の場合、慎重な判断が必要です。

② 子どものアレルギー検査を検討

血液検査や皮膚テストは参考になりますが、「陰性だから大丈夫」というわけではありません。
ただし判断材料としては有効です。

③ 飼う前に“実際に触れ合ってみる”

知人の犬と数時間過ごしてみたり、お試しの預かりサービスを利用するのも手。
ただし、ふれあい施設は独特の環境で必ずしも参考にならないため注意が必要です。

アレルギーが気になる家庭でもできる対策

もし犬を迎える場合、アレルギーのリスクを下げる工夫もあります。

  • 空気清浄機の設置
  • こまめな掃除、換気
  • 犬のブラッシングやシャンプーを適切に
  • 寝室に犬を入れないなどのゾーニング
  • 顔を舐めさせすぎない、触れ合い後の手洗い

「低アレルゲン犬」だからと油断せず、環境を整えることが大切です。

子どもと犬が幸せに暮らすための心構えソファに座る男の子の膝の上にゴールデンレトリバーが座っている。男の子は笑顔で犬のをのぞき込んでいる。

 

犬は子どものおもちゃではありません。
生き物であり、家族であり、感情のある存在です。

犬は10年以上生きます。
子どもが成長して部活動で忙しくなっても、受験期になっても、犬の世話は続きます。
ライフステージが変わっても向き合える覚悟が必要です。

しかし、その覚悟を家族全員で共有できれば、犬との生活はかけがえのない豊かな時間になります。
「犬と育ったことで、子どもの優しさや思いやりが育った」という声も多く、家族のつながりを深めてくれる存在にもなります。

まとめ:不安をなくすために“知ったうえで選ぶ”ことが大切

犬と暮らすことにはたくさんのメリットがある一方、アレルギーや負担の面など、見逃せないデメリットもあります。

大切なのは
「不安だからやめる」ではなく、「理解したうえで慎重に選ぶ」こと。

家族全員で話し合い、必要な準備をし、体験を踏まえたうえで判断することで、後悔しない選択につながります。

犬と暮らす生活は、子どもにとっても親にとっても、確かに大きな喜びをもたらしてくれます。
その喜びと負担の両面をしっかり知ったうえで、あなたのご家庭に合う選択ができるよう願っています。

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