小学校入学が楽しみじゃないと言われたら?子どもの不安への声かけと入学前にできること

小学校への入学が近づくと、ランドセルや文房具などの入学準備を進めながら、子どもが小学校生活を楽しみにしている姿を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

ところが、そんなときに子どもから「小学校に行くの、楽しみじゃない」「学校に行きたくない」と言われると、親としては心配になります。

「学校で何か嫌なことがあるのかな」
「友達ができなかったらどうしよう」
「入学してから大丈夫かな」と、不安が次々に出てくることもあるでしょう。

ただ、「小学校入学が楽しみじゃない」という言葉だけで、学校そのものを嫌がっているとは限りません。

今までとは大きく変わる環境への戸惑いや、まだ経験したことのない学校生活への不安から、「楽しみじゃない」という気持ちになっていることもあります。

この記事では、小学校入学を前に子どもが「楽しみじゃない」と話したときに考えられる理由や、親ができる声かけ、入学前にできる準備について紹介します。

「小学校入学が楽しみじゃない」と言われたら、まずは気持ちを受け止める

子どもから「小学校が楽しみじゃない」と言われると、親はつい「どうして?」「学校は楽しいところだよ」と言いたくなるかもしれません。

せっかくの入学なのだから、前向きな気持ちで迎えてほしいと思うのも自然なことです。

しかし、最初から理由を聞き出そうとしたり、気持ちを変えようとしたりするよりも、まずは「そう感じているんだね」と受け止めることが大切です。

例えば、

「小学校、楽しみじゃないんだね」
「何か心配なことがあるのかな?」
「まだよく分からないから不安なのかもしれないね」

など、子どもの気持ちを否定しない言葉をかけてみましょう。

「そんなこと言わないの」
「小学生になったら楽しいよ」
「みんな楽しみにしているよ」

とすぐに否定されると、子どもは「楽しみじゃないと思う自分がおかしいのかな」と感じてしまうことがあります。

また、子ども自身も「なぜ楽しみじゃないのか」をうまく説明できない場合があります。

大人でも、これから始まる新しい環境について「何となく不安」と感じることがあります。それと同じように、子どもも理由をはっきりと言葉にできないまま不安を感じていることがあります。

まずは、子どもの言葉をそのまま受け止めるところから始めてみましょう。

なぜ「小学校入学が楽しみじゃない」と感じるの?

子どもが小学校を楽しみにできない理由は、一人ひとり異なります。

「学校が嫌」という単純な理由ではなく、いくつもの不安が重なっている場合もあります。

ここでは、入学前の子どもが感じやすい不安について見ていきましょう。

今までと環境が大きく変わるから

保育園や幼稚園から小学校へ進むと、生活環境が大きく変わります。

これまで通っていた園とは違う場所へ行き、先生も変わります。クラスや友達も変わり、毎日の過ごし方もこれまでとは異なります。

大人からすると「小学校に進学する」という一つの出来事でも、子どもにとっては、これまで経験したことのない変化が一度にやってくることになります。

「小学校ってどんなところなんだろう」
「今までの先生とは違うのかな」
「新しい友達と仲良くできるかな」

など、分からないことが多ければ、不安になるのも無理はありません。

特に、環境の変化が苦手な子どもにとっては、「楽しみ」という気持ちより先に「大丈夫かな」という気持ちが出てくることもあります。

勉強が始まることが不安

小学校に入ると、授業が始まります。

ひらがなや数字、計算などを学ぶことを楽しみにしている子どももいる一方で、「勉強って難しいのかな」と不安に感じる子どももいます。

「ちゃんとできるかな」
「先生に怒られないかな」
「分からなかったらどうしよう」

といった気持ちが、小学校への不安につながることもあります。

入学前から「小学校では勉強を頑張らないといけないよ」「宿題があるよ」などと言われることで、学校を「大変な場所」とイメージしてしまうこともあります。

もちろん、入学前にひらがなや数字などに触れておくことは悪いことではありません。

ただ、できないことにばかり注目するのではなく、「分からないことは先生に聞けばいい」「少しずつ覚えていけばいい」と伝えておくことも大切です。

新しい友達ができるか心配

友達関係も、小学校入学前の大きな不安の一つです。

今まで一緒に遊んでいた友達と別の小学校になる場合、「新しい友達ができるかな」と心配になることがあります。

「一人になったらどうしよう」
「仲良くできなかったらどうしよう」
「話しかけるのが恥ずかしい」

など、子どもなりにさまざまなことを考えているかもしれません。

「すぐに友達できるよ」と言われても、不安な気持ちがすぐになくなるとは限りません。

「新しい友達ができるか心配なんだね」と受け止めたうえで、「困ったときは先生に話していいんだよ」と伝えておくと、子どもにとって一つの安心材料になります。

学校生活のことがよく分からない

小学校に通った経験のある大人にとっては当たり前に思えることでも、初めて小学校へ通う子どもには分からないことがたくさんあります。

例えば、

「トイレに行きたくなったらどうするの?」
「授業中に分からないことがあったら?」
「給食は全部食べないといけないの?」
「教室が分からなくなったら?」
「忘れ物をしたらどうなるの?」

などです。

一つひとつは小さな疑問に見えても、子どもにとっては「分からないことがたくさんある」という状態そのものが不安につながります。

子どもが何か心配している様子なら、「学校ではこういうときは先生に聞けば大丈夫だよ」と、具体的に説明してあげるとよいでしょう。

登下校が不安

小学校では、園に通っていたときとは違い、自分で学校へ向かうことになります。

家から学校までの道、横断歩道、交通量の多い道路など、登下校そのものを心配する子どももいます。

特に、これまで保護者と一緒に園へ通っていた場合は、「一人で歩く」ということに不安を感じることがあります。

入学前に親子で通学路を歩きながら、実際の道を確認しておくと、少しずつイメージしやすくなります。

「ここは車が来るから止まろう」
「ここでは横断歩道を渡ろう」

など、具体的に確認しておくことも大切です。

「楽しみじゃない」と言われたときは、無理に理由を聞き出さなくても大丈夫

机に突っ伏す小学生の女の子

子どもが「小学校が楽しみじゃない」と言ったら、親としては「どうして?」と理由を知りたくなるものです。

しかし、何度も理由を聞かれると、子どもが負担に感じる場合もあります。

「どうして嫌なの?」
「何が不安なの?」
「学校で何かあったの?」

と質問を続けるより、

「何か心配なことがあるのかな」
「話したくなったら教えてね」

と伝えて、いったん話を終えても構いません。

しばらく時間が経ってから、子どものほうから話してくれることもあります。

また、遊んでいるときや一緒に買い物をしているときなど、正面から向き合って質問しているわけではない場面のほうが、話しやすい子どももいます。

「そういえば小学校って、どんなところだと思う?」

など、会話の中で自然に聞いてみるのも一つの方法です。

子どもの不安を具体的にしてみる

「小学校が嫌」という言葉の中には、さまざまな気持ちが隠れていることがあります。

例えば、

「小学校が嫌」
↓
「知らない場所だから嫌」
↓
「教室が分からなくなりそうで不安」

というように、不安の正体が分かると、できることが見えてくる場合があります。

子どもに聞くときは、すべてを一度に質問する必要はありません。

「学校の何が心配?」
と聞いて答えが出なければ、

「先生のことはどう?」
「お友達のことは?」
「勉強はどうかな?」
「学校まで歩くのは大丈夫そう?」

など、具体的な場面について聞いてみると、子どもが話しやすくなることがあります。

ただし、子どもが「分からない」と答えた場合は、無理に答えを求めなくても大丈夫です。

まだ自分でも気持ちを整理できていない可能性があります。

入学前にできることを少しずつ準備する

小学校への不安が大きい場合は、学校生活を具体的にイメージできるようにすることも役立ちます。

通学路を一緒に歩く

入学前に、実際の通学路を親子で歩いてみましょう。

「学校までどのくらいかかるのか」「どこで道路を渡るのか」などを確認しておくと、入学後のイメージがしやすくなります。

一度歩いただけでなく、何度か歩いてみるのもよいでしょう。

子どもが「ここがちょっと怖い」と感じる場所があれば、その場所について一緒に考えてみます。

学校生活を具体的にイメージする

学校公開や入学説明会など、参加できる機会があれば利用してみるのもよいでしょう。

実際の学校を見ることで、「小学校がどんな場所なのか分からない」という不安を減らせる場合があります。

また、学校で使うものを準備するときに、「これは学校で使うんだよ」と説明するのもよいでしょう。

ランドセルや筆箱、上履きなどを一緒に準備していくことで、小学校が少しずつ身近なものになっていきます。

自分の持ち物を分かりやすくしておく

入学すると、文房具や衣類、給食用品など、自分で管理する持ち物が増えていきます。

入学前に持ち物へ名前をつけておくと、自分のものを見つけやすくなります。

特に、同じような筆箱や鉛筆、傘、衣類などは、名前がついていることで「自分のもの」と確認しやすくなります。

名前を書くことを親だけで済ませるのではなく、準備した持ち物を一緒に確認しながら、「これは自分のものだね」と話しておくのもよいでしょう。

入学準備は、単に必要なものをそろえるだけではありません。

「これから小学校で使うもの」を子どもと一緒に準備していく時間そのものが、少しずつ新しい生活をイメージするきっかけにもなります。

「小学生になるために」と頑張らせすぎない

泣きながら勉強する女の子

小学校入学が近づくと、「入学までにできるようにしておかなければ」と、親が焦ってしまうことがあります。

例えば、

・時計を読めるようにする
・ひらがなを書けるようにする
・自分で着替えられるようにする
・自分で持ち物を準備できるようにする
・早寝早起きの習慣をつける

などです。

もちろん、生活習慣を整えておくことは大切です。

しかし、「小学生になるまでに全部できるようにしなければ」と考えすぎる必要はありません。

できるようになるまでのペースには個人差があります。

できないことを指摘され続けると、子どもが「小学校に行くためには、いろいろなことができないといけない」と感じてしまうこともあります。

入学に向けた準備では、「できることを増やす」ことだけではなく、「困ったときに大人へ助けを求められるようにする」ことも大切です。

「分からなかったら先生に聞いていいよ」
「困ったことがあったら、おうちで話してね」

と伝えておくことで、子どもが一人で抱え込まないための準備にもなります。

「楽しみじゃない」と「学校に行きたくない」は分けて考える

「小学校が楽しみじゃない」と聞くと、親としては「学校に行けなくなったらどうしよう」と心配になるかもしれません。

ただ、入学前に学校を楽しみにしていないことと、学校へ行くことを強く拒否していることは、同じではありません。

「楽しみじゃないけれど、行ってみようかな」と思っている子どももいます。

一方で、

「絶対に学校へ行きたくない」
「学校が怖い」
「学校の話をすると強く嫌がる」

など、強い不安が続く場合もあります。

そのほか、入学を前にして眠れない、食欲が落ちる、体調不良を繰り返すなど、生活に影響するほどの変化が見られる場合は、子どもの様子を丁寧に見てあげましょう。

気になることがあれば、入学前から園の先生などに相談しておくのも一つの方法です。

親だけで「どうすればいいのだろう」と抱え込まず、子どもの様子を共有しながら入学を迎えることもできます。

「小学校を楽しみにさせなければ」と焦らなくても大丈夫

「小学校が楽しみじゃない」と言われたとき、親は「なんとか楽しみにさせたい」と考えてしまうかもしれません。

しかし、入学前から小学校を楽しみにしている必要はありません。

楽しみな気持ちと、不安な気持ちが同時に存在することもあります。

「ランドセルは楽しみだけど、学校はちょっと不安」
「友達は楽しみだけど、勉強は心配」

というように、子どもの中にもさまざまな気持ちがあるでしょう。

また、入学前は不安だったとしても、実際に学校生活が始まってみると、好きな授業が見つかったり、友達ができたり、先生との関わりに慣れたりすることもあります。

反対に、最初からすべてを楽しめなくても問題ありません。

新しい環境に慣れるまでに必要な時間も、子どもによって違います。

「楽しみにさせること」よりも、「不安なことがあっても話していい」と思える環境をつくることを大切にしてみましょう。

小学校入学が楽しみじゃないと言われたときに、親ができること

小学校入学を前に「楽しみじゃない」と言われたら、次のようなことを意識してみましょう。

1.子どもの気持ちを否定しない

「楽しみじゃないんだね」と、まずはその気持ちを受け止めます。

2.無理に理由を聞き出さない

子ども自身も理由を説明できないことがあります。話したくなったときに話せるよう、待つことも大切です。

3.不安の中身を一緒に整理する

友達、勉強、先生、通学路など、具体的に考えることで対処できる不安もあります。

4.学校生活を具体的にイメージできるようにする

通学路を歩いたり、学校で使うものを準備したりしながら、少しずつ新しい生活に触れていきましょう。

5.入学までに完璧を求めすぎない

できないことだけを見るのではなく、少しずつできるようになっていることにも目を向けます。

6.強い不安が続く場合は周囲に相談する

子どもの様子が気になるときは、園の先生など、身近な大人に相談してみましょう。

まとめ:小学校を楽しみにしていなくても、焦らなくて大丈夫

ランドセルを背負った小学生の男の子

小学校入学が近づくと、「楽しみだね」と声をかける機会が増えます。

だからこそ、子どもから「楽しみじゃない」と言われると、親としては心配になってしまうものです。

しかし、小学校は子どもにとって初めて経験することがたくさんある場所です。

新しい先生、新しい友達、勉強、登下校など、これまでとは違う生活を前にして、「大丈夫かな」と不安になることはあります。

「小学校が楽しみじゃない」という言葉だけで、学校生活がうまくいかないと決まったわけではありません。

まずは、

「楽しみじゃないんだね」
「何か心配なことがあるのかな」
「話したくなったら教えてね」

と、子どもの気持ちを受け止めてみましょう。

そして、通学路を一緒に歩いたり、学校で使うものを準備したりしながら、少しずつ小学校生活を具体的にイメージできるようにしていきます。

大切なのは、入学の日までに「小学校が楽しみ!」と思わせることではありません。

不安な気持ちがあっても、「困ったときは誰かに相談できる」「分からないことがあっても大丈夫」と思えることです。

小学校への期待や不安の大きさは、子どもによって違います。

周りの子どもと比べたり、「もっと楽しみにしてほしい」と焦ったりせず、その子なりのペースで新しい生活への準備を進めていきましょう。

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