
赤ちゃんのお世話をする中で、多くの家庭で活躍する育児アイテム「おしゃぶり」。泣き止ませや寝かしつけに使っている方も多いのではないでしょうか。
便利なおしゃぶりですが、ふと気になるのが「これっていつまで使って大丈夫なんだろう?」という疑問。歯並びや発達に悪影響がないか、不安に感じる方も少なくありません。
今回は、「おしゃぶりはいつまで使っていいの?」というテーマで、やめどきの目安やスムーズな卒業方法、気をつけたいポイントについてお話ししていきます。
目次
おしゃぶりの役割とメリット
そもそも、おしゃぶりはなぜ必要なのでしょうか。
新生児〜乳児期の赤ちゃんには「吸啜反射(きゅうてつはんしゃ)」といって、口に何かが触れると自然と吸おうとする反射があります。おしゃぶりはこの本能を満たすための道具のひとつで、赤ちゃんにとって安心できる存在です。
また、泣きやまないときや眠れないときにおしゃぶりを使うことで、気持ちが落ち着いてリラックスできる効果があります。特に夜間の寝かしつけに有効で、育児の負担軽減にもつながります。
さらに近年の研究では、睡眠中のおしゃぶり使用がSIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクを下げる可能性があるという報告もあり、医学的な利点も指摘されています。
おしゃぶりをやめるべき理由
ただし、おしゃぶりは万能ではありません。長期間使い続けることで、いくつかのデメリットもあるため注意が必要です。
歯並びや噛み合わせへの影響
特に2歳を過ぎてからも長時間おしゃぶりを使っていると、前歯が出たり、噛み合わせがずれてしまう「開咬(かいこう)」と呼ばれる状態になることがあります。
言葉の発達への影響
おしゃぶりをくわえていると発語のチャンスが減り、言葉を話す意欲に影響を与える可能性があると指摘されています。もちろん一時的な使用では問題ありませんが、常にくわえている状態が続くと発達に影響することも。
感情の自立を妨げる
不安や眠気など、赤ちゃんが本来感じるべき感情をおしゃぶりで紛らわしてしまうと、自分で感情をコントロールする力が育ちにくくなるともいわれています。
おしゃぶりはいつまで使っていいの?
一般的な目安としては、1歳半〜2歳ごろまでに卒業を目指すのが理想とされています。
世界保健機関(WHO)や日本小児歯科学会のガイドラインでも、1歳を過ぎたらおしゃぶりの使用を控え、2歳頃までにはやめるように勧めています。
ただし、子どもの発達や性格には個人差があるため、必ずしもこの年齢までにやめなければいけないというわけではありません。「2歳半までに少しずつ卒業できたらいいな」くらいの気持ちで、焦らず進めていきましょう。
卒業のサインを見逃さないで
おしゃぶりのやめどきは、子ども自身の様子からも見えてくることがあります。
昼間は使わず、寝るときだけになった
おしゃぶりを忘れて過ごす日が出てきた
おしゃぶりがなくても眠れる日がある
自分で「もういらない」と言い出した
こういったサインが出てきたら、卒業のチャンスです。
スムーズにやめるための工夫
いきなり「今日からダメ!」と取り上げると、子どもは不安になったり、かえって指しゃぶりに移行してしまうことも。以下のような工夫をしながら、段階的にやめていくのがおすすめです。
使用時間を少しずつ減らす
まずは昼間の使用を控え、寝かしつけのときだけに。慣れてきたら、夜間も徐々に時間を短くしていきます。
新しい入眠儀式を作る
絵本の読み聞かせや音楽、ぬいぐるみを抱っこするなど、別の「安心材料」を用意してあげましょう。
「お別れイベント」をしてみる
「ありがとう、バイバイ」と感謝を込めておしゃぶりを処分するイベントをするのも効果的。箱に入れて保管したり、おもちゃ屋さんに「プレゼント」として返すごっこ遊びをする家庭もあります。
カレンダーやご褒美シールを活用
日ごとに使う時間を減らしていき、できた日はシールを貼っていくと、達成感が育まれます。
無理にやめなくても大丈夫?
親としては「早くやめさせなきゃ」と焦る気持ちもありますが、無理にやめさせることでかえってストレスになる場合もあります。特に敏感な性格の子は、精神的な安定材料としておしゃぶりを強く必要としていることも。
また、自然と興味をなくして卒業する子も多いので、まわりの子と比較せず、その子のペースを大切にしてあげましょう。
それでも不安な場合は、小児科や歯科で相談してみるのがおすすめです。専門家のアドバイスがあると安心できます。
まとめ:子どもの気持ちを尊重して、親子で乗り越えよう
おしゃぶりは赤ちゃんにとって大切な安心アイテム。でも、ずっと使い続けるわけにはいきません。1歳を過ぎたら少しずつ卒業を意識して、2歳前後を目安にやめる準備をしていきましょう。
一番大切なのは、親の都合ではなく「子どもの気持ちを尊重すること」。
上手に卒業できたときには、たくさん褒めてあげてくださいね。親子で一緒に乗り越えた経験は、子どもの自信にもつながります。