要介護4とはどんな状態?5との違いや気になる給付金など詳しく紹介

「要介護4にはどんなサポートがあるの?」

「要介護4って、どんな状態なんだろう?」という疑問はありませんか?

要介護4は、介護度の上から2番目のレベルです。でも、具体的にどんな状態か、よく分からない人も多いと思います。

この記事では、要介護4の状態をわかりやすく解説します。また、要介護3や要介護5との違いや、要介護4の人が利用できるサービスについても触れていきます。

要介護4とは

虫眼鏡を使って文章を読むおばあさんの後ろ姿

要介護4の状態では、食事や排せつ、入浴など、ほぼすべての日常生活において全面的な支援が必要とされます。

寝たきりや認知症などの状態のため、昼夜を問わず24時間体制での介護が必要です。そのため、自分で身の回りのことや家事を行うことが難しくなります。

厚生労働省による具体例では、排泄、入浴、衣服の着脱など、ほとんどの日常生活動作に介助が必要です。さらに、問題行動が増え、理解力が低下していることも特徴です。日常生活能力が低下しており、ますます支援が必要とされる状態です。これらの動作は日常生活に不可欠なものですから、介護者の負担も相当なものであることがうかがえます。

要介護3との違い

要介護3は、介護度の中程度であり、日常生活全般で介助が必要です。トイレや入浴、食事など、さまざまな場面で支援が必要になります。

要介護3の基準時間は、70分以上90分未満であり、要介護4では、介護が必要な時間がさらに増えることがあります。また、寝たきりに近い状態で、車いすへの移動や体の姿勢の変更にも介助が必要になることがあります。

要介護4に進むと、身体機能の低下だけでなく、思考力や理解力にも著しい低下がみられます。

要介護3では、身体的な介護が必要であり、家族や介護サービスからの支援が不可欠です。ただし、介護サービスの種類や提供地域によっては、利用が難しい場合もあります。

その場合は、家族や地域のボランティアなど、周囲の人々の支援を受けることが大切です。

要介護5との違い

要介護5は、介護度の最高レベルであり、最も深刻な介護を必要とする状態です。7段階中で最上位に位置します。この状態では、要介護4以上と同様に身体機能の低下や思考力、理解力の低下がみられ、自分で身体を動かすことがほとんどできません。

要介護4とは異なり、一定の意思疎通が困難になることがあります。しかし、寝たきり状態が悪化しているわけではなく、一部の動作を自分で行うことが可能な場合があります。

要介護4で受けられるサービスは?

自宅で受けるサービス

訪問介護」サービスは、ご自宅で生活する方のもとに、ホームヘルパーが定期的に訪問し、食事や入浴、排泄などの身体介助を提供します。また、衣類の洗濯や家の掃除、ゴミ出しといった生活援助や、病院や薬局での薬の受け取り代行などのサービスも利用することができます。

訪問入浴介護」は、自宅の浴槽で入浴が難しい方に対して、訪問入浴のサービス提供事業者が自宅に訪問し、特殊な浴槽を使って入浴介護を行うサービスです。ホームヘルパーや看護師が利用者の身体をサポートし、安全かつ快適な入浴をサポートします。

訪問看護」は、看護師がご利用者の自宅を訪問し、病気や状態に応じて、健康維持や病状の悪化防止、アドバイスなどを提供するサービスです。また、主治医の指示に基づき、必要に応じて医療処置も行います。

訪問リハビリテーション」は、自宅を訪問するリハビリ専門職の理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などが関わり、日常生活の自立支援や心身機能の維持・回復などのリハビリテーションを提供するサービスです。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護」は、日中や夜間を通じて、訪問介護と訪問看護が一体的にまたは密接に連携しながら、安全確認のための定期的な巡回やナースコールによる随時通報の対応を行うサービスです。利用者は24時間いつでも連絡や相談が可能で、定額で利用できる点が特徴です。

施設に通って受けるサービス

通所介護(デイサービス)」は、利用者が通所介護事業所などに通い、日帰りで日常生活の支援や機能訓練を受けられるサービスです。食事や入浴、生活機能を向上させるためのレクリエーションなどのサービスが提供されます。通常、デイサービスへの送迎は事業者が用意した車で行われます

通所リハビリテーション(デイケア)」は、介護老人保健施設、病院、診療所などに通い、理学療法士や作業療法士による生活機能向上の訓練やその他のリハビリテーションを受けることができるサービスです。通称「デイケアサービス」とも呼ばれます。このサービスの目的は、要介護状態を予防したり、状態の悪化を防ぐことです。

認知症対応型通所介護」は、認知症のある方が通所介護(デイサービス)事業所などに通い、入浴や食事の支援、生活に関する相談、健康状態の確認、機能訓練などのサービスを受けることができるサービスです。通常のデイサービスよりも少人数で行われ、認知症に特化したサポートが提供されます。

施設に宿泊して受けるサービス

短期入所生活介護(ショートステイ)」は、数日から最長30日間までの短期間、福祉施設に入居できるサービスです。施設に入居すると、入浴や排泄などの介助や、健康状態に合わせた食事の提供を受けることができます。期間が終わると、自宅へ戻ります。

要介護4で利用できる福祉用具

  • 歩行補助杖(松葉杖や多点杖など)
  • 手すり
  • 介護ベッド
  • 歩行器
  • スロープ(工事を伴わないもの)
  • 車いす
  • 車いす付属品
  • 特殊寝台付属品
  • 床ずれ防止用具
  • 体位変換器
  • 認知症老人徘徊感知機器
  • 移動用リフト(工事を伴わないもの・つり具部分を除く)
  • 自動排泄処理装置(尿のみ吸引するもの)

また、介護保険が適用できる福祉用具としては、以下のようなものがあります。

  • 腰かけ便座
  • 自動排泄処理装置の交換可能部品
  • 入浴補助用具
  • 簡易浴槽
  • 移動用リフトの吊り具部分
  • ポータブルトイレ

介護保険で福祉用具をレンタルまたは購入したい場合は、事前にケアマネージャーに相談してください。

自己負担額は、自己負担割合に応じて異なります。例えば、自己負担割合が1割の方が5,000円の福祉用具を購入した場合、支払う金額は500円になります。

要介護4でかかる費用・もらえるお金

積まれたコインの上にミニチュアの人間が座っている

要介護4の支給限度額

要介護4の区分支給限度額は30,983単位です。1単位は10円で計算されますので、原則として月に309,830円分まで介護保険でサービスを利用することができます。(地域による費用差があります)

負担割合が1割の場合、自己負担額は30,983円になります。負担割合が3割の場合、自己負担額は92,949円になります。ただし、実際の負担割合は、収入や世帯構成によって決まります。また、支給限度基準額は、月内に受けたサービスの合計単位数から算出されます。支給限度基準額を超過した分のサービス利用費は全額自己負担となります。

おむつ代助成制度

自治体独自の「おむつ代助成制度」は、一部の自治体で提供されています。多くの場合、この制度を利用するには「要介護認定を受けている」「在宅介護を行っている」といった条件が設けられています。

この制度には大きく2つの支給方法があります。1つは「現物給付(おむつ)」で、自治体が指定したカタログから商品を選んで注文する方法です。もう1つは「おむつ代を助成金として支給する」方法で、支給された金額を使って自分でおむつを購入することができます。

また、一部の自治体ではおむつだけでなく、パットやおしりふきなども選ぶことができます。

この制度の有無や詳細については、担当のケアマネージャーさんや自治体の役所に問い合わせると良いでしょう。自分の地域で利用できる支援制度を知ることで、介護の負担を軽減するための助けを受けることができます。

住宅改修の補助金

要介護者が居住する住宅を改修する際、手すりの設置や段差の解消などのバリアフリー化を促進するための「住宅改修の補助金」が利用できます。

この補助金の上限は20万円であり、原則として1回のみ利用できます。ただし、要介護区分が3段階上昇した場合や、住居の引っ越しを行った場合は、再度申請して利用することができます。

介護保険制度では上限が20万円となっていますが、市区町村によっては独自の助成金制度が存在することもあります。これにより、住宅改修の費用を軽減することができますので、利用の際は自治体の窓口で詳細を確認しましょう。

高額介護サービス費制度

高額介護サービス費制度は、1か月に支払った介護サービスの自己負担額が一定額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。

現在の月額負担上限額は、以下のようになっています(2023年8月以降)。

  • 課税所得が690万円以上の世帯:140,100円
  • 課税所得が380~690万円未満の世帯:93,000円
  • 市町村民税課税~課税所得が380万円未満の世帯:44,000円
  • 世帯全員が市町村民税非課税の場合:24,600円
  • 世帯全員が市町村民税非課税かつ前年の年金収入その他の所得が80万円以下の場合:世帯で24,600円、個人で15,000円
  • 生活保護を受給している方の場合:世帯で15,000円

ただし、これらの基準や金額は年度によって変動することがありますので、詳細については担当のケアマネージャーさんや自治体に相談してみることをおすすめします。

要介護4で入居できる介護施設

要介護4の方は、介護負担が重いとされるため、介護サポートが手厚い施設や医療ケアが充実している施設を選ぶ傾向があります。

介護療養型医療施設は、特養に次いで要介護4の方が多く入居しており、医療依存度が高い方が多いのが特徴です。要介護4の状態では、自宅での介護負担も非常に大きくなるため、施設利用を検討する段階に早急に進むことが適切と言えます。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホーム(介護付きホーム)は、主に介護を必要とする利用者が入居し、食事や入浴、排泄などの介助や、掃除や洗濯などの生活上の支援を受けながら、日常生活を送ることができる施設です。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、原則として自立から軽度の要介護者が入居し、食事の提供や掃除、洗濯などの生活上のサポートを受けられる施設です。利用者のニーズに応じて介護サービスを利用でき、さまざまなサービスを組み合わせることが可能です。

ただし、施設によっては要介護度の高い方も受け入れている場合もありますが、一方で要介護度が低い方しか受け入れていない場合もありますので、利用を検討する際には事前に確認することが重要です。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者住まい法に基づいて設立された施設で、高齢者の単身や夫婦世帯が入居できる賃貸住宅です。住宅内では段差解消や手すりが設置されており、収納設備やトイレ、一人当たりの床面積が25平方メートル以上など、入居者が安心して暮らせるように設計されています。また、生活相談サービスなど、ケアの専門家によるサポートも受けることができます。

特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)

特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)は、自宅での生活が難しい要介護3以上の方が入居する施設です。入居者の多くは認知症のある方や重度の要介護状態の方です。施設では、食事や入浴、排泄の介助はもちろんのこと、更衣や口腔ケア、清拭(身体を拭いて清潔に保つ)などのサービスも提供されます。

介護老人保健施設

介護老人保健施設(老健)は、要介護1以上の方が利用でき、食事や入浴などの介護サービスに加えて、自宅復帰のための歩行訓練などのリハビリテーションのサービスを受けることができます。多くは病院に併設されており、医療体制が整っている点が特徴です。

介護療養型医療施設

介護療養型医療施設は、長期的な療養と常時の介護が必要な方が入居する施設です。医療的処置やリハビリテーション、日常生活上の介護を受けることができます。特別養護老人ホームや介護老人保健施設に比べて、より医療環境が整っています。

ケアハウス

ケアハウス(軽費老人ホーム)は、ご家族からの援助が受けられないなどの理由で、自宅での生活が困難な方が入居する施設です。入浴や食事などの身体介護に加えて、掃除や洗濯などの家事援助や、日常生活上の支援を受けることができます。

グループホーム

グループホームは、地域に密着したサービスの一つで、要介護4の方も入居できる小規模で家庭的な雰囲気の施設です。他の入居者や介護職員との関わりを通じて、共同生活を送ります。ただし、認知症と診断された方や、施設と同じ市区町村に住民票がない方は入居できませんので、ご注意ください。

要介護4のデイサービスの利用回数

要介護4の方が利用できるデイサービスの回数は、通常は週に4~5回です。

デイサービスの利用回数には原則的な制限はありません。ただし、介護度ごとに定められている区分支給限度基準額を上回らなければ、介護保険を利用して自己負担額を抑えることができます。

要介護4のデイサービスの利用料金

要介護4のデイサービスの利用料金は、1回あたり約10,000円程度です。ただし、デイサービスは介護保険が適用されるため、自己負担割合が1割であれば1,000円、2割であれば2,000円程度で利用することができます(昼食代等が別途かかります)。

デイサービスの料金は、利用者の介護度と利用時間に応じて設定されています。介護度が高くなるほど料金が上がり、利用時間によっても料金が変動します。

また、施設内で入浴介助やリハビリテーションなどを受ける場合、入浴介助加算や個別機能訓練加算といった追加料金が発生することがあります。また、重度の方を中心に受け入れている施設では、中重度ケア体制加算や認知症加算などが料金に上乗せされることもあります。

デイサービス内で提供される食事やおやつ、レクリエーションにかかる費用などは全額自己負担となりますので、その点も考慮してください。

要介護4の状態であれば、介護保険の自己負担額が1割の場合でも、1日当たり1,700~2,000円程度の費用がかかると考えられます。

要介護4の方の余命は?

要介護4の方の平均余命は、厚生労働省の調査によると男性で約8.73年、女性で約12.06年とされています。

要介護4の方の中でも、要介護度が進行している方は、この数値よりも平均余命が短くなる傾向があります。

これはあくまで目安であり、個々の状況によって異なりますが、おおよそ9〜12年ほどで余命が尽きることが多いと言われています。介護が必要な親がいる家族としては、これらの数字を踏まえて、家族全員で支え合い、大切な時間を過ごすことが大切です。

要介護4についてまとめ

車いすに乗った女性の後ろ姿

要介護4の状態では、日常生活のほとんどにおいて介助が必要です。座っていることや立ったり歩いたりすることが難しい場合がほとんどです。要介護4の方を在宅で介護する場合、介護者には大きな身体的、精神的な負担がかかることがあります。そのため、施設を利用することも考える必要があります。

施設への入居を検討することで、利用者だけでなく家族も笑顔を取り戻すきっかけとなることがあります。介護疲れによる共倒れを避けるためにも、利用者が自分らしさを取り戻すためにも、介護保険のサービスを有効に活用することをおすすめします。

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