要介護1とは?受けられるサービスや要介護2との違いなどを解説

「親が要介護1って言われて、どう対応すれば良いんだろう?」

「要介護1ってどんなサービスがあるのか気になるなぁ。」

親が要介護1と認定されると、こんな時どうすれば良いのかよく分からないことが多いですよね。

そこで、この記事では要介護1とはどんな状態なのかを詳しく説明します。要介護1と認定される基準や、要介護1の方が利用できるサービスの内容、そして気になる料金についても解説します。介護が必要なとき、どのようにサポートしていけば良いのか、少しでも分かりやすくお伝えできればと思います。

要介護1とは

海岸に車いす

厚生労働省が設けた要介護の基準によれば、「寝たきりや認知症などで、常に介護が必要な状態」が要介護とされています。

介護度は、必要な介護の段階によって非該当、要支援1~2、要介護1~5の8段階に分かれています。

そして、要介護は文字通り介護が必要な状態で、その度合いによって5つの段階に分かれています。

要介護1は、介護の必要性が最も低い段階で、基本的な生活動作は一人でこなせます。ただし、運動能力や認知能力の低下により、一部の介護が必要です。

厚生労働省の調査によれば、2020年時点で全国で要介護(要支援)者は682万人に上りますが、そのうち要介護1と認定されているのは全体の約20%にあたる140万人です。

要介護1に認定されると、どのようにサポートしていくべきか、またその際に気を付けるべきポイントなど、分かりやすくお伝えしていきます。

要介護1と2の違い

要介護1の状態では、食事などは自分でできますが、歩くときやトイレ、入浴など身の回りのことで一部手助けが必要です。

それに対して、要介護2では、食事、トイレ、入浴といった日常生活の様々な面で介助が必要になります。身体の能力も低下しているため、立ち上がることや歩くことにも支障が出てきます。

そして、要介護2と判定される状態だと理解力や思考力も低下してきます。手助けが必要な範囲も広がり、生活全般に支えが必要な状態になるのが要介護2ということなんですね。

要介護1で受けられるサービスは?

要介護1で受けられるサービスは以下の通りです。

訪問型訪問介護
訪問看護
訪問入浴
訪問リハビリテーション
居宅療養管理指導
夜間対応型訪問介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
通所型通所介護(デイサービス)
通所リハビリテーション(デイケア)
地域密着型通所介護
療養通所介護
認知症対応型通所介護
看護小規模多機能型小規模看護(複合型サービス)
短期入所型短期入所生活介護(ショートステイ)
短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
福祉用具福祉用具の貸与費の支給
福祉用具の購入費の支給
住宅改修住宅改修費の支給
地域密着型認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
小規模多機能型居宅介護
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
地域密着型特定施設入所者生活介護
その他特定施設入居者生活介護

各サービスについて詳しく説明していきます。

自宅で受けるサービス

訪問介護」は、ご自宅で生活しているお年寄りに向けて、ホームヘルパーが訪問して食事や入浴、排泄などの身体介助を行います。また、生活援助として、家の掃除やゴミ出し、洗濯なども手伝ってもらえます。これがあると、家庭の環境も整って、安心して生活できます。

訪問入浴介護」は、ホームヘルパーや看護師が特殊な浴槽を使ってご自宅に訪れ、入浴介助を提供するサービスです。高齢になると入浴が難しくなることがありますが、専門のサービスがあるおかげで安心感があります。

そして、「訪問看護」は看護師がご自宅に訪れ、医療的なケアや診察の補助を行うサービスです。具合が悪くて外出が難しい時でも、自宅で看護師に診てもらえます。医療的なケアが必要な方にはぴったりのサービスだと思います。

最後に、「訪問リハビリテーション」は、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの専門スタッフが自宅に訪れ、心身機能の維持や回復、日常生活での自立をサポートするサービスです。リハビリが自宅で受けられるのは、通院が難しい場合でも続けやすいです。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護」は、昼夜を問わず、訪問介護と訪問看護が協力して、定期的な巡回と緊急時の対応を行うサービスです。普通の訪問介護とは違って、一定の料金で利用できるのが特長です。

施設に通って受けるサービス

通所介護(デイサービス)」は、自宅に住む方がデイサービス事業所などに通い、日帰りでサービスを受けるものです。食事や入浴、レクリエーションなどが提供され、通常は事業者が用意した車で送迎されます。家から外に出て気分転換できるし、様々なサービスを楽しめます。

通所リハビリテーション(デイケア)」は、介護老人保健施設や病院、診療所などに通い、理学療法、作業療法などのリハビリを受けるサービスです。通称「デイケアサービス」とも呼ばれ、身体機能の維持や生活機能の向上を目指し、要介護状態の予防や悪化防止を目的としています。

認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)」は、認知症の方がデイサービス事業所などに通い、入浴や排泄、食事の支援、生活相談、健康状態の確認、機能訓練などを提供するサービスです。

自宅での暮らしを支えるサービス

福祉用具貸与」は、日常生活での自立支援や介護者の負担を軽くするためのサービスです。要介護1の場合、歩行器、手すり、スロープ、歩行補助杖などがレンタルできます。これがあると、家の中でも安心して移動できるし、介護者の負担も軽減されます。

特定福祉用具販売」は、貸与に向いていない福祉用具(腰掛便座、入浴補助用具、簡易浴槽など)を購入するサービスです。これも日常生活での自立支援や介護者の負担を減らすためのものです。お風呂での安全な入浴ができるようになり、家庭内での介護がスムーズになります。

短期宿泊するサービス

短期入所生活介護(ショートステイ)」は、一時的に自宅でのサービスが難しい場合に、短期間だけ施設に入所するサービスです。急な体調不良になった時や、介護者が一時的に手が離せない時に、入浴や排泄、食事の介護を受けることができます。

短期入所療養介護(医療型ショートステイ)」も同様に、一時的に自宅でのサービスが難しい場合に、介護老人保健施設などに入所して看護や機能訓練を受けるサービスです。病気で自宅でのケアが難しい場合や、医療的なサポートが必要な時に利用できます。自宅では難しい医療的なケアが、施設で提供されることで安心感が生まれます。

地域密着型サービス

地域密着型サービスは、「住み慣れた地域で、できる限り自分らしい暮らしが続けられるように提供される包括的なケアシステム・サービス」のことです。

市町村が指定した事業者から提供される地域密着型サービスは、要介護1の方にも利用できます。

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」は、認知症の利用者を対象として専門的なケアが提供されるサービスで、日常生活の支援や機能訓練を受けられます。

小規模多機能型居宅介護」は、通いを中心に訪問型サービスや短期間の宿泊サービスを組み合わせて、日常生活の支援や機能訓練が受けられます。これは、利用者の選択に応じて柔軟にサポートが提供される点が魅力で、自分のペースで利用できます。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」は、入所定員30人未満の介護老人福祉施設にて、入浴や食事などの日常生活上の支援や機能訓練が提供されます。こうした施設に入所すると、アットホームな雰囲気で地域や家族とのつながりを大切にでき、生活が充実します。

地域密着型特定施設入所者生活介護」は、指定を受けた有料老人ホームや軽費老人ホームで、食事や入浴などの支援や機能訓練が提供されます。これも入居定員が少ないため、個別のニーズに柔軟に対応でき、快適な環境で生活できます。

要介護1でかかる費用

座っている人と経っている人が握手している手のアップ

要介護1の支給限度額

要介護1の場合、介護保険サービスを利用する際の支給限度額は1ヵ月あたり「16万7,650円」です。

この中で、所得によって1~3割が自己負担額として利用者が負担します。支給限度額内で支出を抑えるためには、ケアマネージャーと相談しながら利用計画を立てることが重要です。要介護1の場合、介護保険のサービスを利用する際には、この自己負担額の範囲内で支出を管理することが大切です。

要介護1で入居できる介護施設

両手に杖をもって歩くおじいさん

ご自宅での生活に不安を感じたり、家族の支援が難しい場合もあるでしょう。そうした状況では、要介護1でも入居できる施設での生活を選択することが一つの選択肢です。要介護1で入居できる施設の種類を紹介します。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホーム【特定施設】は、民間の施設ですが各都道府県から介護保険の「特定施設入居者生活介護(特定施設)」の指定を受けています。この施設は「介護付き」という名前が示す通り、要介護者向けのサービスを提供しています。幅広いニーズに対応するために、「介護専用型」と「混合型」の2種類があり、認知症の方でも入居が可能です。

介護サービスは24時間施設の職員が提供するため、特定施設として指定を受けていない「住宅型有料老人ホーム」とは異なり、基本的なサービスについては介護保険の限度額を超えて追加料金がかかりません。そのため、入居者は特養などと同様に、固定額で介護サービスを受けることができます。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、介護をあまり多く必要としていない人から要介護5の方まで、幅広く入居できる施設です。

介護付き有料老人ホームとは異なり、特定施設入居者生活介護の認定を受けていないため、24時間体制の介護サービスは提供されません。ただし、一部の施設では介護士や看護師を24時間配置している場合もあり、実際には介護付き有料老人ホームと大きな差はないことがあります。

サービス付き高齢者向け住宅と同じように、利用する分だけ外部の介護事業者と個別に契約して介護サービスを受けることができます。

民間企業が運営しているため、施設によって費用が異なります。入居一時金は0~数千万円、月額費用は10~40万円+介護サービス費用となっています。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、高齢者向け住宅で、特定施設の指定を受けている場所を除き、一般的な賃貸住宅に近い介護施設です。(※サ高住のうち、介護サービスが固定額となる「特定施設」は全体の8.5%を占めています。※一般社団法人高齢者住宅協会「サービス付き高齢者向け住宅の現状と分析」より)

提供されるサービスは「安否確認」と「生活相談サービス」のみです。日中は専門職が対応しますが、夜間は対応していない場合もあります。サ高住ごとにケアの内容が異なり、食事の提供や家事支援などのオプション料金を支払うことが一般的です。(※例えば、社会福祉法人・医療法人等の職員、医師、看護師、介護福祉士など)

施設内に介護事業者が入っていることもよくあり、介護が必要になった場合は個別に契約し、自宅にいる時と同じように居宅サービスを受けることができます。入居対象は、要支援1など自立から軽度に近い方ですが、要介護5でも受け入れる施設もあります。

多くは入居一時金が不要なので、退去の決断がしやすいのも特徴です。

介護老人保健施設

介護老人保健施設(老健)は、自宅への復帰を目指す施設です。ここでは、理学療法士や作業療法士などによるリハビリテーションが充実しています。

また、24時間看護師が常駐しており、医療ケアも提供されますが、入居期間は3~6ヶ月に限定されています。したがって、「終の棲家(ついのすみか)」として利用することはできません。ただし、現在は特養施設の待機者が多いため、老健で最期を迎える方も増えています。実際、厚生労働省の調査によると、平均滞在期間は281日と3ヶ月を大きく上回っています。

入居一時金は不要で、月額費用の平均相場は6~17万円です。また、認知症の方も施設によっては受け入れが可能です。

介護医療院

介護医療院は、急性期の治療を終えたものの、寝たきりなどで自宅での介護が難しい方を対象にしています。入浴や排泄、食事から療養上の世話まで、包括的なケアを提供する施設です。

特養や老健と同様に、要介護者を受け入れており、医療法人によって運営されているため、医療ケアが充実しています。外観は病院に近く、老人ホームとは異なる雰囲気があります。

認知症の方も受け入れ可能で、入居時の一時金は不要です。月額費用の平均相場は6~17万円ですが、所得が少ない場合は住居費や食費の負担軽減制度を利用することで減免が受けられます。

グループホーム

グループホームは、地域に根ざしたサービスの一つで、自治体に住民票を持つ方が入居できる施設です。ここでは、認知症高齢者が少人数で共同生活を送ります。

介護職員が目を光らせ、柔軟に対応してくれるので安心ですが、重度の介護や医療ケアが必要になると施設によっては退去を余儀なくされることもあります。

入居一時金の平均相場は0~数百万円で、月額費用は家賃や光熱費、食費などを中心に約10~15万円ほどです。

介護型ケアハウス

介護型ケアハウスは、身寄りのない高齢者や家族の支援が難しい方々を受け入れる施設です。ここでは、食事や安否確認、レクリエーションなどのサービスが提供されています。

ケアハウスには、住宅型と特定施設の指定を受けた介護型があります。住宅型は自立できる60歳以上の高齢者や、夫婦のうち一方が60歳以上で、介護型は要支援1・2または要介護1~5までの高齢者を受け入れます。

住宅型では、個々人が事業者と契約し、居宅サービス(通常は外部)を利用します。一方、介護型では24時間ケアハウスの職員が介護を担当します。

要介護1の場合は、介護型に入居することになりますので、その点を注意しましょう。

要介護1でも一人暮らしはできる?

要介護1と判定された方は、日常生活動作の一部に不安がありますが、自分で一人暮らしをすることができます。実際、一人暮らしをしている方もいます。

ただし、認知機能や身体機能が低下してきている方や、初期の認知症に疑いのある方、または家族が遠くに住んでいて十分な見守りができない方は、施設への入居を考えることもあります。

一人暮らしを続けたい場合は、適度に介護保険サービスを利用して週に数回のリハビリテーションに取り組みながら、デイサービスなどで社会的な交流や活動を行うと良いでしょう。

要介護1のデイサービスの利用回数

杖をついて歩くおばあさんの後ろ姿

要介護1の方がデイサービスを利用する際には、特に制限はありません。利用回数や内容に関する制限を設けたい場合は、ケアマネージャーに相談してみるのが良いでしょう。また、介護が比較的必要ない場合でも、週に5回デイサービスを利用することが可能です。

デイサービスの他にも訪問介護などの介護サービスを利用して、1日を過ごすことが一般的です。デイサービス以外の介護サービスも検討してみることをお勧めします。

要介護のデイサービスの利用は週に2~3回が一般的

要介護1の方々は、週に2~3回程度のサービス利用が一般的です。

要介護1の状態では、自分でできることが多いため、家事や買い物などの日常生活においては自立している方も多いです。そのため、デイサービスよりも訪問介護などのサービスを利用することが一般的です。

訪問介護などのサービスを利用することで、24時間体制で介護を受けることが可能であり、利用者や家族の安心感も増します。

要介護1のデイサービスの利用料金

デイサービスの費用は、個々の介護ニーズや利用時間に応じて異なります。1日ごとの利用も可能ですが、利用時間が7時間以内かそれ以上かによって費用が異なります。具体的な利用日や時間は、ケアマネージャーとの相談を通じて決定しましょう。

《デイサービスを7時間以内で使用した場合≫

利用回数自己負担額
1割2割3割
1回572円1144円1716円
2回1144円2288円3432円
3回1716円3432円5158円
4回2288円4576円6864円

《デイサービスを7時間以上使用した場合》

利用回数自己負担額
1割2割3割
1回656円1312円1968円
2回1312円2624円3936円
3回1968円3936円5904円
4回2624円5248円7872円

加算される料金

利用料金に加算されるケースがあります。例えば、初回加算、夜間や早朝、深夜の場合の加算、そして緊急時の訪問介護加算が該当します。

初回加算は、初めて訪問介護(ホームヘルプ)を利用する際に発生します。1カ月につき200単位で、1単位10円の場合、1割負担で200円に相当します。

夜間(18時から22時まで)や早朝(6時から8時まで)に訪問介護(ホームヘルプ)を利用する場合、基本料金に対して25%の加算があります。

深夜(22時から翌6時まで)に訪問介護(ホームヘルプ)を利用する場合、基本料金の50%が加算されます。

緊急時に訪問介護(ホームヘルプ)を利用する場合、1回につき100単位が加算されます。1単位10円の場合、1割負担で100円に相当します。

これらの加算料金は、実際の利用状況によって発生します。加算がある場合、正確な情報を把握し、予め理解しておくことが大切です。

まとめ

要介護1の方は基本的な日常生活は自分でできるため、自宅に住みながら訪問介護や通所介護(デイサービス)を受けることで、必要な介護を受けることができます。

ただし、要介護1の方々は在宅介護だけでなく、健康型有料老人ホームを利用している方も3割ほどいます。

自分の希望や利用できる費用に合わせて、自分に合った介護サービスを選んで、より充実した生活を送りましょう。

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