介護認定とは?区分の違い、認定基準、介護認定の申請方法など

デイサービスや訪問介護、介護用品をレンタルしたい、といった介護サービスを利用するためには、介護認定を受けなくてはなりません。

また、介護認定には必要な介護の状態によって8区分に分けられ、区分ごとに受けられるサービスや給付額が異なります。

今回は介護認定の区分の違い、認定基準、介護認定の申請方法など、介護認定について詳しく解説していきます。

介護認定とは?

街の中のベンチに座るおじいさんの後ろ姿

介護保健サービスを利用する場合、介護度に応じて1~3割の自己負担が必要になります。
介護認定は介護サービスを利用する上で必要になるもので、日常生活でどれくらいの介護が必要なのかを、数値化して示したものです。

介護認定には2種類ある

二人の後ろ姿

介護認定には、要支援と要介護の2種類に分類され、要介護・要支援のカテゴリーの中でも必要な介護の度合いに応じて細かく分類されます。
また、それぞれの介護認定ごとに支給限度額が異なったり、受けられるサービスに違いがあったりします。

以下の表はそれぞれ分類分けした表です。

要介護要介護5
要介護4
要介護3
要介護2
要介護1
要支援要支援2
要支援1
自立

要介護とは

要介護は1~5までの5つに分類され、運動能力・思考力・理解力が低下した状態で、日常生活を送る基本動作が困難である状態にあり、支援や介護を必要とした状態です。
そのため、要介護で利用できるのは「介護サービス」です。
介護サービスは、日常生活を送る上で必要な介護や介助といった支援を受けることが出来ます。

要支援とは

要支援は1~2の2つに分類され、日常生活は基本的に1人で送ることが可能ですが、部分的に介護や手助けが必要となる状態です。
要介護で利用出来るのは、「介護予防サービス」となり、要介護になることを防ぐことや現状の維持、状況悪化を防ぐ目的で介護保険サービスを利用することが出来ます。

要支援・要介護の認定基準は?

メモに書き込み

介護認定を受けるのは住まいがある各自治体ごとに申請を行いますが、認定基準は全国統一の指針の元で行い、地域差が出ないようにしています。

認定基準として設けられているのが、「要介護認定等基準時間」です。
要介護認定等基準時間とは、介護にどれくらいの手間がかかるのかを、時間で表したものです。

以下の5つの介護の分類ごとに、介護にかかる時間を算出します。

分類内容
直接生活介助入浴・排泄・食事等
間接生活介助洗濯・掃除などの家事援助等
問題行動関連行為徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末等
機能訓練関連行為歩行訓練、日常生活訓練などの機能訓練
医療関連行為輸液の管理、褥瘡等の処置など診療行為の補助

上記の介護分類でかかる時間を機械的に算出し、判定します。

要介護度基準
要支援1要介護認定等基準時間が25分以上32分未満
要支援2要介護認定等基準時間が32分以上50分未満のうち、要支援状態にある者
要介護1要介護認定等基準時間が32分以上50分未満のうち、要介護状態にある者
要介護2要介護認定等基準時間が50分以上70分未満
要介護3要介護認定等基準時間が70分以上90分未満
要介護4要介護認定等基準時間が90分以上110分未満

上記の要介護認定基準時間によって算出されたものに併せて、介護認定審査会の診査も行われ、介護認定が決まります。

要介護・要支援になる基準

要介護か要支援になるかの違いは、
・認知症があるかどうか
・状態が安定しているか
この2つが大きく関わっています。

認知症によって思考力や理解力の低下が見られるなど、認知症の症状がある場合には要介護になる可能性が高いです。

状態の安定とは、今後本人の状態が変わり介護量が増える可能性がある場合には、要介護と認定される可能性が高くなります。

認定に不満があるとき

ここまで紹介したように、介護認定の基準になるのは全国で統一された指針に基づき認定が下ります。
1度受けた介護認定には期間があり、厚生労働省は有効期限を原則6ヵ月としています。
しかし、自治体の判断によって3~48ヵ月に設定することが出来ます。

多くの自治体では、新しく介護認定を受けた新規の場合は1年間(3~12ヵ月)、更新した人は4年間(3~48ヵ月)で更新をします。

もし受けた介護認定に不満があっても、介護保険は自動更新ではないため、更新期間まで待つか、不服申し立てをして審査をやり直すことが出来ます。

また、更新期間を待たずに状態が変化した場合には、再度審査をやり直してもらうことが出来ます。

介護認定を受ける手順

積み重ねた本

ここまで、介護認定について詳しく解説していきました。
では、実際に介護認定を受ける手順について紹介していきます。

介護認定を受けるために用意するもの

介護認定を申請するために必要な書類があります。

・介護認定申請書
・介護保険被保険者証(40~64歳は健康保険証)
・本人確認が出来る書類(運転免許証など)
・マイナンバーカード(マイナンバーカード通知書でも可能)

介護認定の申請場所

介護認定の申請を行う場所は、介護認定を受ける本人が住んでいる各自治体になります。
役所等にある介護保険課などで申請を行うことになりますが、各自治体で名称が異なったり、専用窓口があったりするので確認しましょう。

申請を行うのは窓口だけではなく、郵送も出来ます。

介護申請を行える人

原則本人による申請が必要ですが、本人が申請出来ない場合には家族や親族などが代わりに申請を行うことが出来ます。

家族が遠方に住んでいるなど、申請が困難な場合には、

・地域包括支援センター
・居宅介護支援事業所
・入所している介護保険施設

などが代理で申請することが出来ます。

介護認定の流れ

介護認定を受けるまでの流れを紹介します。

・申請書の提出
 窓口に申請書を提出すると、最初に行われる認定のための調査(訪問調査)のスケジュール調整がされます。

・訪問調査
 自治体の職員や調査担当のケアマネージャーなど、認定調査員が本人と面会して聴き取り調査を行います。
訪問調査では家族の同席も出来るので、同席をしたり普段の様子を記録したメモを用意したりするのがおすすめです。

<訪問調査で確認する6項目>

1.身体機能・起居動作
麻痺があるかどうか、寝返りが出来るか、座ったまま立ったままの姿勢を保てるか、歩行できるか、など
2.生活機能
食事、排泄、着替え、歯磨きや洗顔、移乗が出来るか、など
3.認知機能
コミュニケーションがとれるか、季節の理解、今いる場所の理解、徘徊の有無、など
4.精神・行動障害
感情が不安定になることはあるか、昼夜逆転の有無、精神状態が安定しているか、など
5.社会生活への適応
内服管理、金銭管理、意思決定の有無、など
6.過去14日間に受けた医療について
点滴、透析、経管栄養など、特別な医療を受けた経験など

・主治医の意見書
聴き取り調査が終わったあとは、自治体からかかりつけ医に意見書作成を依頼します。
かかりつけ医がない場合には、自治体が指定した医師の診察を受けてから作成に入ります。

・一次判定と二次判定
一次判定では、聞き取り調査に基づいた内容を要介護認定等基準時間に当てはめ、コンピューターによって判定が行われます。
その結果を踏まえて、二次判定では介護認定審査会が実施され、認定結果が出ます。

・結果通知
申請から約1ヵ月で結果が通知されます。
自治体によって結果通知までの期間には違いがあるので、確認しましょう。

まとめ

介護認定は介護サービスを受けるために必要なもので、自身の介護度はどれくらいなのかを表したものです。
介護認定には要支援・要介護の2つの区分があり、介護認定によって受けられるサービスが異なります。
介護度が高くなることで、介護にかかる時間や受けたいサービスの種類が変化していくこともあるため、生活の質を維持し家族などの周囲の介護者の負担を軽減するためにも、介護認定は前向きな気持ちで話し合うことも大切です。

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